乾燥肌の人は足の状態も要チェック!トラブル予防のためのフットケア

乾燥肌の人の中には、顔のように露出している部分だけではなく、すねやかかとなど腕や足のガサガサとしたカサつきが気になる方も多いかもしれません。その上、足の場合は気になってはいても、顔と同じように肌ケアを行っている方は少ないのではないでしょうか。
足も顔と同じように、乾燥によって痒みを生じたり、皮膚炎を起こしてしまうなど大きなトラブルにつながってしまうことがあります。
今回は、乾燥時期には特に気をつけたい足の乾燥について知っておきたい基礎知識から乾燥予防策までを詳しくご紹介するので、ぜひ今後の足の乾燥対策の参考にしてみてください。

乾燥肌 足

乾燥肌の人が知っておきたいあし(足・脚)の乾燥トラブル

足の乾燥は、実は部位によって症状が異なります。
ここでは、乾燥しやすい足の部位と乾燥トラブルについてお話しするので、今後のケアの参考にしてみてください。

乾燥しやすいあし(足・脚)の部位

脛(すね)

脛(すね)は皮脂腺が少なく、カサつきやすい部位です。
肌表面にひび割れが生じて肌がガサガサしたり、白くカサカサな状態になったり、肌の表面が粉を吹いたりという「皮脂枯れ」と呼ばれる状態になることもあります。

かかと

かかとも皮脂腺がほとんどなく角質が厚いので、乾燥が目立ちます。乾燥によって肌表面がカサカサしたり、皮むけが起きる角化症が起きやすい部位です。
また、かかとは、立つ、歩く、靴下や靴を履くなど、日常的に摩擦を受ける機会が多く、外的刺激の影響を受けやすい部位でもあります。乾燥状態にある肌は、さまざまな刺激から肌を守り、水分の蒸発を防ぐ役割をもつバリア機能が低下しています。そこに外的刺激が重なると、肌は大きくダメージを受けてしまうので注意が必要です。

乾燥しやすい部位

乾燥トラブルの例

老人性乾皮症

加齢により皮脂、セラミドをはじめとする角質細胞間脂質や尿素などの天然保湿因子の分泌が低下すると、表皮内の角層の肌のうるおいを維持する機能が低下し、全身の皮膚が乾燥した状態になります。これを老人性乾皮症といいます。
常に皮膚がカサカサした状態で、少しの刺激にも強い反応を示し、赤みやかゆみを引き起こします。

参考リンク
加齢による肌のかさつき「老人性乾皮症」|千葉市医師会
https://www.chiba-city-med.or.jp/column/087.html

皮脂欠乏性皮膚炎

乾燥し、バリア機能が低下した皮膚は、かゆみが生じやすくなります。かゆみが治まらず、さらに皮膚をかくことで炎症を引き起こし、湿疹を生じた状態を皮脂欠乏性皮膚炎と呼びます。
老人性乾皮症とほぼ同じもので、皮膚科の受診が必要になるため、症状が悪化する前に予防することが大切です。

あし(足・脚)の乾燥予防のために取り入れたいスキンケア

では、足の乾燥予防に効果的なケアには、どのようなものがあるのか。ここでは、部位ごとにおすすめのケア方法をご紹介します。

脛(すね)

乾燥予防としてまず行いたいのは、十分な保湿。保湿成分の高い化粧水、ボディオイル、ボディミルク、ボディクリームなどの保湿剤を脛に塗り、足りない水分や油分を補うと良いでしょう。
乾燥がひどい方は、顔用のオールインワンアイテムを使用することもオススメです。このときローションタイプに比べて肌に残る時間の長いジェルタイプを選ぶなど、形状にもこだわってみてください。塗るときは、足首から膝へ向けて両手で縦に伸ばしていくように肌に伸ばしましょう。むくみを取るマッサージ効果があるので、足の疲れも改善できて◎。
毎日ケアを行っても改善が見られない場合は、皮膚科に行き医師の判断を仰ぎましょう。乾燥肌の治療薬として使われている保湿成分「ヘパリン類似物質」が配合された処方薬などを使って、効果的に治療を行うことをおすすめします。

かかと

角質が硬くなりカサカサになってしまいがちなかかとは、入浴時にフットスクラブを使用するのがオススメです。不要な角質を取り除くことで、その後に使う保湿アイテムが浸透しやすくなりますよ。
角質ケアを行った後は、お風呂上がりに保湿をすることもお忘れなく。
せっかく硬くなった角質を取っても、そのままにしておくと乾燥により、また角質が厚くなるという悪循環が生まれてしまいます。
保湿のタイミングは、お風呂上がりすぐが◎。お湯で温まりやわらかくなったかかとに保湿クリームを塗ることで、ツルツルのかかとを手に入れることができますよ。

ドクターズポイント
角化症の治療としては角質を柔らかくし、除去することが大切です。水分保持増加作用や角質溶解剥離作用のある尿素製剤がおすすめです。

あし(足・脚)の乾燥予防のために、日常生活で意識したいこと

ここでは、乾燥予防のために、日常生活で気をつけた方が良いことをお伝えします。どれも簡単にできることなので、脚の肌荒れが気になる方はぜひ取り入れてみてくださいね。

食生活を改善する

乾燥予防には保湿などの外側からのケアの他にも、内側のケアも大切です。
栄養バランスの取れた食生活を心掛けることで、肌のターンオーバーを正常に保ちやすくなり、美しい肌に近づくことができますよ。食事の他にも水分をしっかりとる、サプリメントで食事からだけでは足りないビタミンB群やビタミンCを取るなど心掛けましょう。

入浴方法を見直す

湯船に毎日浸かる事は体が温まり、寝つきも良くなるので良い習慣です。入浴時に気をつけたいのは、お湯の温度と浸かる時間。
温度が高すぎると、肌の乾燥を招きやすくなるので注意が必要です。長くお湯に浸かることも、湯船で皮膚がふやけてしまう原因になるため長風呂は避けましょう。
シャワー派の方も、時間に余裕がある日を見つけてぬるめのお湯につかり、体を洗うときは古い角質を落とすなど基本の角質ケアを、お風呂から上がったら保湿ケアを行うことを心がけると良いでしょう。
体を洗うときのポイントは、石けんやボディソープをしっかりと泡だて、柔らかいタオルで優しく洗うこと。
優しく洗っても、古い角質は十分落とすことができます。あかすりや硬いタオルでゴシゴシ洗ってしまうと、肌に強い摩擦が起きダメージを与えるので避けた方が良いでしょう。
足を洗う際に気をつけたいのは、指の間まで細かく、やさしく洗うこと。指と指の間や爪の間など、細かい部分までしっかり洗うことで清潔な足をキープできます。

爪を整える

割れてしまったり、指のけがにつながるおそれがあるので、足の爪を伸ばしすぎないように注意しましょう。
爪を伸ばしすぎたり、割れてしまったりすると、洗いにくくなり、雑菌が繁殖する可能性もあります。爪のトラブルや水虫などの皮膚トラブルを招く恐れもあるので、素足でいる機会の多くなるこれからの時期は特に気をつけましょう。
肌と同じで爪も乾燥するので、こまめにオイルを塗るなど乾燥予防を行うと◎です。

肌にやさしい靴下をはく

素足で靴を履くと、汗や蒸れで靴の染料が溶け出してかぶれの原因になったり、足と靴との摩擦が生じやすいため、できるだけ靴下を履くことを心がけましょう。
このとき、通気性が良く、締め付けが少ない靴下を選ぶとストレスも少ないのでオススメです。
また、連日同じ靴を履き続けるのも蒸れの原因になるため、靴を乾燥させるためにローテーションさせて履くことが足への負担を減らすことになります。

室内の湿度を高める

加湿器を用いて、室内の乾燥を防ぐことも、乾燥予防に効果的です。
部屋の中央に置くと、全体に湿気が広がりやすいので、加湿器を置く場所にもこだわるとより効果的に部屋の湿度を上げることができますよ。
故障の原因になるおそれがあるため、電子機器の周辺に置くのは避けましょう。

足の乾燥対策で気になる疑問

乾燥予防策をいくつかご紹介しましたが、ここでは足の乾燥対策をするにあたって出てくるであろう気になる疑問についてお答えします。

Q. 足の乾燥を悪化させないための注意点は?

A. 乾燥を悪化させないための注意点としてまず覚えておきたいのは、肌にうるおいを与え、やわらかい状態に導くこと。
もしも足の肌が乾燥してしまった場合、さらなる症状の悪化を防ぐことが大事です。たとえば、皮膚をやわらかくする目的で尿素配合のクリームなどが販売されているので、かかとなどの皮膚がガサガサする箇所に塗るなど、角質肥厚になっている場合は使用を検討してみると良いでしょう。
また、日々、足の肌状態をチェックして、異変に気づいたらそのまま放置せずにしっかり対処をすることも悪化を防ぐためのポイントです。足の乾燥が気になる場合、単に乾燥しているだけではなく、他の疾患を発症しているケースも考えられます。
たとえば、足の症状の特徴から水虫の可能性がある場合は、かゆみなどの自覚症状がなくても皮膚科を受診することをおすすめします。
水虫の治療は、外用薬を塗布して行われることが多いです。悪化させてしまうと、治りにくくなったり、他の部位へ水虫が広がってしまったり、他の人へ感染させてしまうなどの可能性もあるので、発症した場合は早めの治療を心がけましょう。

Q. 足の指の皮むけにはどう対策するの?

A. 足の指の皮がむけたりする場合、肌の乾燥だけではなく、先程ご紹介した水虫(白癬)や汗疱(かんぽう)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などが発生しているおそれがあるので注意が必要です。
症状としては、水虫は発症すると、足の指の間や裏、ふちなどに小さなブツブツができたり、かゆみ、皮むけが生じたりする特徴があります。
なお、水虫はカビの一種である白癬菌の繁殖によって生じます。また、汗疱(かんぽう)は、手指や足裏にできる皮膚の炎症で、症状としては小さな水疱ができます。水疱ができるときはかゆみを伴い、症状が治まると薄皮がむけていくようになります。
もしも、掌蹠膿疱症と呼ばれる皮膚炎を発症している場合は、白や黄色に濁った水疱や膿疱ができます。時間が経過するとかさぶたとなってはがれ落ちますが、一度なると周期的にくり返すという特徴があります。他の疾患と似ている症状もあるため、皮膚科を受診して正しく診断してもらい症状が特定できたら、速やかに適切な治療を行うようにしてください。

乾燥予防でトラブルなしの素足へ

乾燥肌というと顔の肌状態ばかりに目が行きがちですが、足などの顔以外の部位も同じく乾燥していることを忘れてはいけません。
スキンケアが行き届かず、「老人性乾皮症」や「皮脂欠乏性皮膚炎」など、乾燥による肌トラブルを起こしやすいのは、もしかすると足の方かもしれません。
顔のスキンケアを毎日行うように、ぜひ足にも毎日気を配って保湿ケアをするなど、乾燥予防対策をこまめに行うようにしましょう。
また、肌の乾燥を症状の一つとする疾患も複数あるので、痛みを感じるくらいのひどい肌荒れを起こして市販のケア商品では効果が見られない場合は、皮膚科に行き医師の判断に沿って治療を行いましょう。
乾燥予防には、毎日のスキンケアがもちろん大切ですが、入浴方法やお風呂上がりの保湿不足、部屋の空気の乾燥など、日常生活の細かいところにも乾燥を引き起こしてしまう要因となりえることは沢山あります。
乾燥予防のためにも、乾燥しやすい環境や乾燥を促進してしまう習慣などを少しずつ意識して改善し、うるおった肌をキープできる毎日を目指しましょう。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

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