年間を通して、肌がカサカサしたり、赤みが出たり、かゆみを感じたりするなどの症状を伴う乾燥肌は、ファンデーションのノリも悪くなり、気になる肌悩み。
特に肌が乾燥しやすい冬の時期は、乾燥対策をしっかりしておきたいですよね。
冬に引き起こされる肌の乾燥は、空気によるものだけではなく、冬の時期ならではの原因があります。
今回の記事では、そんな冬に肌が乾燥しやすい原因を詳しく解説するとともに、乾燥予防対策におすすめの毎日の肌のお手入れ方法や肌を乾燥させないための習慣についてご紹介します。
これから本格的になってくる冬に向けて、ますます乾燥が気になる今日。ぜひチェックして、うるおい美肌をキープするための参考にしてみてください。
冬に肌が乾燥する主な理由
まずは、冬には肌の乾燥を引き起こす原因にはどんなことがあるのか。詳しくご紹介していきます。
空気の乾燥
冬は外の気温が下がって室内の湿度も低下し、空気の乾燥がひどい季節です。
空気が乾燥していると、肌の水分が蒸発しやすい状態を引き起こします。
冬は寒さゆえに、暖房器具などで室内を温めることが多くなりますが、室内を温めることで、湿度は低下しやすくなります。
そして、湿度が50%を下回ると、肌の乾燥が現れやすくなるといわれています。
肌を乾燥させず、うるおいある肌をキープするためには、空気中に適度な湿度が必要です。
体の冷え
冬の寒さは、体の冷えを引き起こします。
体が冷えると血行が悪くなり、体にさまざまな不調をもたらしますが、肌の冷えにとってもしかり。体の冷えによって、肌に栄養が行き届きにくくなってしまいます。
肌の栄養が不足すると、肌の細胞を生まれ変わるサイクルである肌のターンオーバー(新陳代謝)が乱れ、皮膚のバリア機能の低下につながりやすくなります。
皮膚のバリア機能は、乾燥や紫外線といった外的刺激などから肌を保護するために備わっている皮膚の働きです。
皮膚のバリア機能が低下すれば、ニキビやシミ、しわなどの肌トラブルが発生しやすくなってしまうので、体の冷えには注意が必要です。
乾燥しやすい冬に肌を守る工夫
肌が乾燥しやすい冬には、どんな乾燥予防をすれば良いのでしょうか。
冬の乾燥から肌を守るのに効果的な方法をいくつかご紹介します。
部屋の中を加湿する
まず、取り入れたい乾燥予防策は、自分のいる室内の湿度の低下をできるだけ防ぐことです。
部屋にいる時はミスト式加湿器を置く、濡れタオルをかけるなどして、できるだけ空気中の湿度の低下を防ぐように工夫をしましょう。肌の乾燥を防ぐことが目的の場合は、室内の湿度を60~70%を目安にすると良いでしょう。
また、生活シーンの中で入浴後は肌の水分が蒸発しやすいので、特に注意が必要です。
対策としては、例えば入浴後は、湯船のお湯を抜かずにお風呂場のドアを開けておくと湿度を上げやすいですよ。ただし、湿度を上げすぎるとカビが発生するおそれがあるため、部屋を加湿したらドアを閉めるようにしましょう。
水をこまめに飲む
空気の乾燥による水分の蒸発を防ぐ一方で、体に水分を取り入れることも乾燥予防につながります。
体が水分不足になると、皮膚の表面のカサつきなどにつながる可能性があります。
外側からだけでなく、内側からも水分補給することは、健やかな体作りにつながります。喉の乾きを感じたら、水分を摂取するよう心がけましょう。
使用する保湿アイテムを増やす
1年を通してスキンケアの方法が同じ場合、乾燥しやすい冬に合った保湿ができていない可能性もあります。
冬の肌の状態に合わせて、いつも使っている保湿アイテムを変えてみるのも、肌を乾燥させない対策としておすすめです。
また、保湿アイテムを変えるだけではなく、保湿の仕方についても少し工夫してみるのも良いでしょう。
保湿ケアの際には、化粧水の後に美容液を塗る、化粧水と乳液の後にクリームをつけて水分をできるだけ蒸発させないようにするなど、より保湿にこだわったお手入れをすることが乾燥肌の改善や予防には有効です。
運動を習慣化する
冷えによる血行が悪くなることを防ぐには、日常に運動を取り入れて血行を促進するのがおすすめです。
とはいえ、寒い冬は外に出て運動するのは厳しいという方も多いでしょう。そういった方は、室内でもできる運動で体を動かしましょう。
室内で体を動かす場合の運動は、ヨガやストレッチ、筋トレなどを取り入れると良いでしょう。体を芯から温めることができますよ。
ストレッチは、ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)、スタティックストレッチ(静的ストレッチ)の大きく2つに分けられます。
皆さんよくご存知のラジオ体操は、筋肉を伸ばしながら体を動かす、ダイナミックストレッチ。
心肺機能に負担をかけずに運動機能を上げることができるので、運動前に行なうことでケガを防止したり、運動時のパフォーマンス向上に繋げたりできる、老若男女におすすめの準備運動です。
ヨガはゆっくりと筋肉を伸ばす、スタティックストレッチ。運動後のクールダウンや就寝前、入浴後などにおすすめです。
乾燥しやすい冬こそ見直したいスキンケアポイント
ほかの季節よりも肌が乾燥しやすい冬。スキンケアを見直して、冬に合ったスキンケアを行うのがおすすめです。
ここからは、冬に習慣化したいスキンケアのポイントをご紹介します。
洗顔・入浴後はすぐに保湿する
洗顔や入浴によって、肌のうるおいを維持するために必要な皮脂は、洗い流されてしまいます。そのため、洗顔後や入浴後は、肌の水分が蒸発しやすい状態です。
うるおいある健やかな肌をキープするためには、時間を置かずに、正しい保湿ケアをしっかり行うことが大切です。
肌の潤いを守ってくれる皮脂は、40度を超えると溶け出す性質があります。皮脂を取り過ぎないように40度以下のお湯で洗顔、入浴すると良いでしょう。
また、顔や体を洗う時には、メイクや汚れを落とそうとゴシゴシと肌を強くこするのはNG。強い刺激は、肌の負担になってしまいます。
洗う時には、洗顔料やボディソープの泡でやさしく洗うようにしましょう。
さらに入浴後は、ボディクリームなどでしっかり蓋をして、肌の水分の蒸散を防ぐようにしましょう。
保湿成分が多く入ったアイテムを使う
保湿ケアには、保湿成分が多く配合されたアイテムを使うようにしましょう。
保湿成分が豊富に含まれたスキンケアアイテムは、肌の乾燥を防ぎやすいので、乾燥対策として効果的です。
保湿成分としては、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、プロテオグリカンなどが挙げられます。
また肌が乾燥している場合は、刺激を受けやすく肌が敏感になっています。
そんな時は、低刺激の成分が処方された敏感肌用のスキンケアアイテムを使うなど、自分の肌状態に合わせて適宜変えるようにするのも良いでしょう。
このように、乾燥が気になる時は、いつも使っている保湿アイテムを見直してみましょう。
以上の保湿ケアを行っても、肌の乾燥や肌荒れが改善されなかったり、悪化してしまっていたりする場合は、皮膚炎など乾燥以外に原因がある可能性があります。
早めに皮膚科に相談し、適切な処置を受けるようにしましょう。
乾燥させない環境づくりと保湿ケアで冬の乾燥から肌を守る
乾燥しやすい冬だからこそ、いつも以上に対策を行いたいですよね。
今回ご紹介した乾燥予防対策を冬にはぜひ習慣化して、冬の乾燥から肌を守り、冬でもうるおいある肌をキープできるようにしてみてください。
なお、肌の乾燥を引き起こす原因はご紹介したもの以外にも、ストレスや食生活の乱れ、コロナ禍で定着したマスク生活など、さまざまなものがあります。
乾燥させないスキンケアや環境づくりはもちろん、普段から正しい生活習慣を送ることも大切です。
総合的なケアを行うことが重要であることを覚えておきましょう。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。