化粧崩れの原因と聞くと「皮脂」や「汗」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
もちろん皮脂と汗もメイク崩れの原因の一つではありますが、実は乾燥によってメイクが崩れてしまうことも多くあるのです。
今回は乾燥によりメイクが崩れてしまう理由、乾燥肌の方にオススメなメイク方法やメイクアイテムの選び方をご紹介します。
メイクがピタッと決まらない…乾燥による化粧崩れの特徴
午前中はキレイだったメイクが、お昼過ぎには崩れてしまっている…という経験をしたことはありませんか?
時間が経つにつれてメイクが肌から浮いてきてしまう原因は主に油分が関係している場合が多いですが、ファンデーションが割れたりシワが目立つ場合は乾燥が原因かもしれません。
ここでは乾燥によるメイク崩れの特徴をお話します。
メイクが割れる
「メイクが割れている」とは、ファンデーションやアイシャドウが肌の上でひび割れたように崩れている状態。
メイクを塗布した後、肌やメイクの成分が乾燥することで起きてしまいます。
ひび割れている上から追加でファンデーションを重ねてしまうとさらに汚くなってしまいがちなので、一旦メイクを落とす、ミスト化粧水などで保湿した上からメイクを重ねるなどメイク直しにもコツが必要です。
シワが目立つ
目元やほうれい線などのシワに、ファンデーションやアイシャドウが入り込み、目立ってしまっている状態。
これも肌の水分量が少なくなることで肌に密着していないメイクが乾燥し、浮き上がってしまうために起こります。
朝のメイク時に「シワを隠したい」という気持ちから肌を厚塗りに仕上げてしまうと、崩れた際に余計にシワが目立ってしまう可能性があるので注意しましょう。
乾燥肌の人にすすめたいメイクの方法
乾燥によるメイク崩れの特徴は「メイクの割れ」と「シワの悪目立ち」。かといって乾いた肌に薄くメイクを乗せてもすぐに不自然に目立ってしまいます。
これらを防ぐためには、ベースメイクを行う前に、しっかりと保湿された状態の肌を作っておくことが大切です。
日中のメイク直しの回数を減らすためにも、スキンケアでメイクの土台となる肌を整えましょう。
STEP1:保湿ケアアイテムで乾燥を予防する
美肌作りの基本は、肌の汚れを落とし、しっかりと保湿させること。それはメイク前の準備段階でも同じです。
洗顔後、まずはたっぷり肌を保湿することで肌にうるおいが補給されます。
自分の肌の状態に合わせて、化粧水、乳液、クリームなどを使用し、メイク前の肌を日中の乾燥に負けない化粧崩れしにくい状態へ導きましょう。朝の忙しい時間なら、オールインワンアイテムを使うのも手です。
また、職種やタイミングによっては、後からメイク直しや保湿ケアを行うことが難しい人もいるでしょう。そんな人には、長時間うるおいが続く乾燥予防処方タイプのスキンケアアイテムがおすすめ。
朝のケア時に塗るだけで、角層に長時間水分を与え続けて日中の乾燥をしっかり予防してくれるので、メイク崩れしにくくなります。
STEP2:日焼け止め・化粧下地を塗る
スキンケアで肌の状態を整えたら、ファンデーションを塗る前に日焼け止め、化粧下地を顔に伸ばしましょう。
日焼け止めと化粧下地はそれぞれ役割が違うため、兼用のものを使うよりもそれぞれ塗り重ねたほうが効果は高いといわれています。
商品ごとに提示されている使用量を手に取っておでこ、鼻、両頬、あごにポンポンと分けて乗せたら、中央から外へと伸ばします。
Tゾーンは皮脂が出やすくヨレやすいパーツのため、テカリが気になる方や皮脂崩れの自覚のある方は使用量を少し抑えるなど調節してください。
パウダーファンデーションを使用する方はファンデーションの前にくすみ、シミなどが気になる部分をコンシーラーでカバーしておくと良いでしょう。
コンシーラーを使う順番はブランドによって違うこともあるので、愛用のブランドで手順を確認してくださいね。
STEP3:ファンデーションでカバーする
スキンケア、日焼け止め、化粧下地(場合によってはコンシーラーまで)を終えたら、ファンデーションを塗りましょう。乾燥肌の方はパウダーファンデーションよりも肌への密着度の高いリキッドファンデーションを使った方が、化粧崩れを起こしにくいのでオススメです。
ヒアルロン酸、コラーゲンなどの保湿成分が多く配合されたものを選ぶとなお良いでしょう。保湿成分が少ないと肌に塗った後に乾燥によって固まり、ひび割れなどが起こる原因になる可能性があります。
UVケア機能があるアイテムなら、紫外線による乾燥も対策できるため一石二鳥です。
メイク時に使用するツール選びも重要。パフやブラシ、スパチュラなど、肌と用途に合った道具を使い、肌を擦らないように丁寧に重ねましょう。
STEP4:フェイスパウダーで仕上げる
ファンデーションを塗ったら、最後はフェイスパウダー(おしろい)で仕上げましょう。フェイスパウダーを重ねることでファンデーション特有の厚塗り感が抑えられ、自然な印象の肌に仕上がります。
皮脂吸着成分の入ったフェイスパウダーは余分な皮脂や汗をしっかり吸い取って、メイクのよれ、崩れをしっかりと防いでくれます。
パウダーと聞くと乾燥肌には向かないのではと思う方もいるかもしれませんが、皮脂や汗による崩れをおさえるために必要なアイテムです。乾燥が気になる方は保湿成分が配合されたものを選ぶと良いでしょう。
さらにフェイスパウダーの上からメイクをキープするミストなどを使用すると、より化粧崩れを防ぎやすくなります。
乾燥肌の人に適したメイクアイテム選びのポイント
ここでは乾燥肌の方にぴったりなメイクアイテムをご紹介します。
乾燥しやすい肌は外部刺激に弱い傾向があるため、メイクによる肌の負担を感じやすい方も多いのではないでしょうか。
成分やテクスチャー、メイク後のキープ力など、参考にしてみてくださいね。
うるおい成分
乾燥肌の方は肌へのうるおいをキープすることが第一。セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、プロテオグリカンなどの保湿成分が配合されたアイテムを選ぶと良いでしょう。
メイク前のスキンケアでしっかり保湿をしたとしても、時間経過やオフィスの環境によっては、肌の油分や水分のバランスをうまくキープできないことも…。
そんな時、うるおい成分豊富なアイテムを使えば、メイクしながらスキンケアすることが可能になりますよ。
テクスチャー
メイクアイテムを選ぶ時は、みずみずしさ、伸ばしやすさなどを確認すると良いでしょう。肌への負担が少なく、うるおいを長時間キープしてくれます。
また、「クリームタイプ」や「美容液タイプ」など、濃厚なアイテムを選ぶのも乾燥対策には◎。
肌に長くのせるものなので、好みのテクスチャーを見つけること、自分の肌になじみやすいアイテムを選ぶことが重要です。
キープ力
仕上げたメイクが崩れにくいかどうか、つまりキープ力があるアイテムかどうかも大切なポイントです。
油分が多すぎるアイテムを選ぶと、今度は皮脂崩れの原因になることも。
ベースアイテムは保湿力はもちろん、肌への密着力が高いか、汗や皮脂に強いかどうかにも着目すると良いでしょう。
メイクの上から乾燥をケアするには
きちんと乾燥予防してからメイクすることが大前提ですが、もしも日中の乾燥などでメイクが崩れてしまった場合はどのようにリカバリーしたらよいのでしょうか。
化粧水ミスト、スプレーなどは、一時的に水分を与えることはできても、その後蒸発する際に余計に乾燥してしまう「過乾燥」が起きる恐れがあります。
目元や口元などの部分的な乾燥であれば、保湿成分が配合されたジェルなどを指先につけ、トントンとおさえるようにやさしく延ばしてケアを。
よれを防ぐため擦らないように注意して、肌になじんだら上からパウダーで押さえましょう。
特に口元は、口紅を塗り直す際に口角やほうれい線に乾燥崩れがないか要チェック。
頬やおでこなど、広範囲の乾燥を感じる場合は、思い切ってメイクをし直すほうがきれいに仕上がる場合があります。
手のひらにスキンケアアイテムを広げ、ハンドプレスをするように肌をおさえて浸透させましょう。
化粧水、乳液などをいくつも持ち歩くのは大変なので、オールインワンジェルなどをお守り代わりに持っておくと、いざというときにも安心です。
一日中、乾燥予防でメイクをキープ
乾燥によるメイク崩れの原因は、肌のうるおいがキープできず、メイク成分が乾いて密着しないこと。
最近はやりの“ツヤ肌仕上げ”のようなファンデーションを使う際も、土台となる肌が保湿されていないと効果が半減してしまい、ツヤ感が上手に演出できないことも…。
綺麗なメイクをキープするために、まずは長時間しっかりと乾燥予防してくれるようなスキンケアをすること、そして保湿成分豊富なメイクアイテムを選ぶことが重要です。
日中も、ミスト化粧水を振りかけて手のひらで抑えるなど乾燥予防ケアに気を配ると、乾燥によるメイク崩れを防ぐことができて◎。
キレイなメイクを楽しむためにも、自分の肌の状態を知り、最適なアイテムを上手に使用できると良いですよね。
乾燥肌に合わせたメイクのポイントをおさえ、一日中透明感のある美肌をキープしましょう。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。