「写真に写った自分の顔が数年前よりもたるんでいてショック」「小さいシミやシワが日に日に目立つ気がする」など、ふとした瞬間に年齢を感じて落ち込むこと、ありませんか? 年齢を重ねるごとに増えるシミやシワ、皮膚のたるみなどは加齢による肌の衰え=エイジングサインとも呼ばれます。ここではそんな加齢からくる肌悩みに寄り添う「エイジングケア」についてお伝えします。
エイジングケアの基礎知識
「エイジングケア」とは、加齢によって起こる肌の変化に応じたお手入れのこと。若返りを目指すものではありません。 自分の肌老化に合わせたケアを行うことが肝心で、まったくお手入れをしないこと、また逆にやりすぎも良くないので注意が必要です。 ここではそんなエイジングケアの基礎知識についてお話します。
主なエイジングサイン
エイジングとは、年齢を重ねること、またそれによって起こる変化を指します。肌のエイジングが進むことでシミ、くすみ、小じわ、肌のしぼみ、たるみなどが生じるため、老けた印象に見えてしまいます。 また、目に見える変化だけでなく、手触りのざらつき、ハリのなさや、化粧のノリが悪くなったり、化粧崩れが起こりやすくなったりすることで肌老化を実感する場合もあります。
エイジングサイン(加齢による肌の変化)の原因
肌のエイジングが進み、エイジングサインが現れる一番の原因は、保湿不足。 年齢を重ねると保湿力が低下するため、肌の皮脂や天然保湿因子(NMF)などが徐々に失われていく傾向があります。皮脂や天然保湿因子(NMF)などが失われることで若々しさの象徴である肌のうるおいやハリが減少し、老けて見えるのです。 加齢だけでなく紫外線による肌の乾燥もうるおいやハリ成分の損傷に繋がるため注意が必要。保湿力を高めること、そして乾燥から肌を守ることを意識しましょう。
エイジングケアを始める時期とは?
肌年齢を感じるタイミングは人それぞれですが、一般的には二十代後半に入った頃からエイジングサインを感じ始め、エイジングに関連した肌悩みが増える方が多くなります。 先ほどもお伝えしたように、肌の保湿力は年齢を重ねるごとに低下していくため、早め早めのエイジングケアを行うのがおすすめ。 また、エイジングサインと肌の乾燥、両方に大きく影響を与えるのが「紫外線ダメージ」です。紫外線に含まれるUVA波は肌の奥の真皮まで到達し、肌にうるおいを貯めハリを保つ成分に損傷を与えて、シワ、たるみの原因に。さらにヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンなどの成分が減少し、肌内部に水分を貯めることができなくなって肌の乾燥を招きます。 若いうちは真夏の太陽をいっぱい浴びても大丈夫…なんてことは決してありません。早めに紫外線対策を始めることで、エイジングサインの出現を遅らせられる可能性があります。 まずは保湿や乾燥予防、そして紫外線対策といったケアをできるだけ早く始め、肌に明らかな加齢サインを感じたら、より集中的なエイジングケアを行うと良いでしょう。
エイジングケアの手順
保湿と乾燥予防、そしてなるべく早くケアを始めることが、年齢を感じさせない肌を目指す第一歩。とはいえ、具体的にどんなケアを行えば良いのかわからない方も多いかもしれません。こここではそんなエイジングケアの手順についてお伝えします。ぜひ参考にしてくださいね。
基本のスキンケアで乾燥予防
クレンジング、洗顔
スキンケアの要は“落とすケア”。せっかく良い成分の入った化粧品を使っても、汚れを落としきれていないと必要な成分が肌に浸透せず、効果は半減してしまいます。 スキンケアの前は必ず丁寧にメイクや皮脂、ほこりなどを落とすことを心がけましょう。 乾燥が気になる方は洗浄力の強いクレンジングオイルではなくマイルドな使い心地のクレンジングクリームを使うなど、使用するアイテム選びも大切です。ク レンジング後の洗顔料はよく泡立てて、やさしくなでるように洗うことがポイント。肌のうるおいを落としすぎないよう注意しましょう。
化粧水
洗顔後は、保湿成分が豊富に配合された化粧水で肌に水分を与えると良いでしょう。肌が水分によりほぐされることで美容成分が角層まで浸透しやすくなるため、次に使用する美容液やシートマスクといったスペシャルケアの効果も底上げしてくれますよ。 また、乾燥予防処方のケアアイテムなら肌に水分を与え続けながら、十分なうるおいを長時間キープすることで、乾燥する隙を与えない湿潤状態を保てます。水分と油分のバランスが良く、水分の蒸散を防いでくれるアイテムが◎です。
美容液
エイジングケアといってもハリの低下が気になる方、シミが気になる方と悩みは人それぞれ。美容液はそんな自分の肌悩みに適した商品を使うことをおすすめします。ハリ、弾力成分や、美白成分が含まれたものなど、商品によって得意分野が異なるので、悩みの解消に繋がりそうな商品を選んでください。 使用方法のポイントは、各商品が指定している適量を取り、塗布すること。高いものだとつい一回の使用量を少なくしてしまいがちですが、効果を実感するためにも必ず適量を使用してくださいね。
乳液、クリーム
せっかく化粧水で保湿した肌も、そのままにしておくとすぐに乾燥してしまいます。肌に与えたうるおいは、乳液、クリームでしっかりカバーしてくださいね。乳液とクリームで肌の表面に膜を作ることで、角層に水分と油分が維持されやすくなりますよ。 いくつも塗り重ねるのが面倒という方は、化粧水、美容液、乳液、クリームの役割を兼ねたオールインワンアイテムを使用するとよいでしょう。たくさんの化粧品を使用しなくても、うるおいを長時間維持できるアイテムをスキンケアに取り入れられればOK。時短しつつ効率的にエイジングケアができるのでおすすめです。
シートマスク
エイジングケアを行う際は、スペシャルケアを取り入れることも良いでしょう。定期的にシートマスクなどを使用することで集中的に美容成分を補給し、肌の保湿力を高めることが期待できます。 最近は顔全体ではなく目元用や口元用などピンポイントで使えるシートマスクもあるので活用してみてはいかがでしょうか。
紫外線対策
紫外線対策は年中怠らないことが大切です。朝のスキンケアの最後には必ず日焼け止めを塗り、日中は帽子やサングラス、上着の着用を心掛けましょう。 最近は下地やBBクリームなど、UVカット成分が含まれるメイクアイテムも増えているので、上手に使って手軽にケアをする工夫も◎。 紫外線は窓からも差し込むため、室内や車内でも油断はできません。紫外線から肌を守ることを日常的な習慣にしましょう。紫外線は窓からも入ってくるため、外出しない日でも日焼け止めをつける習慣をつけておくと安心です。
エイジングケアアイテムを選ぶポイント
続いては、エイジングケアアイテムを選ぶポイントについて。エイジングの肌悩みを解決するために必要なアイテムはどんなものなのか、どこに注目して選ぶと良いのかをお伝えします。保湿力や美白など、解消したい悩みに合わせてアイテム選びを行ってくださいね。
保湿力の高さ
エイジングケアの基本は、保湿状態を長時間キープし乾燥を予防すること。若い人のお肌の特徴であるうるおい感やハリ感を保つ上で、保湿力はとても大切なポイントです。使用アイテムを選ぶ際は、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、プロテオグリカンなどの保湿成分が十分に配合されているかどうかを確認すると良いですよ。テスターやサンプルなどを試せるブランドもあるため、実際に使用して使用後の肌のうるおいを確かめてから購入をするのも良いでしょう。サンプルについては店頭や公式オンラインショップで問い合わせてみてくださいね。
美白成分
シミやそばかすに悩んでいる方は、トラネキサム酸、数種のビタミンC誘導体、アルブチンなど、シミ、そばかすを目立たなくする成分が配合されたアイテムを選ぶと◎。 美白化粧品は夏場だけでなく通年で使用すると効果が見えやすいので試してみてください。さっぱりとした使いごこちのものも多いので、保湿力が足りないと感じたらクリームやオイルをプラスすると安心です。
SPF、PAの値
日焼け止めはSPFの数値、PAの+の高さに着目して選ぶと良いでしょう。 SPFは、肌表面にダメージを与える紫外線UVBを防ぐ指標、PAは、肌の深部にあるうるおい、ハリ成分に損傷を与えるUVAを防ぐ指標です。 UVBは肌表面の乾燥や炎症を引き起こす可能性、UVAは、肌のハリを保つコラーゲン線維やエラスチン線維などにダメージを与え、たるみの原因となる可能性があるため、SPFとPAの値はどちらも意識しておく必要があります。
使いやすさ
エイジングケアは毎日続けることが大切です。どんなに効果の高いものでも、毎日続けることが億劫になってしまうと次第にケアを行わなくなってしまうため、意味がありません。肌になじみやすいテクスチャーや、形状の使いやすさなど、使用感、使い勝手の良さにも着目してケアアイテムを探してみてください。化粧水、乳液、美容液と工程の多さに不安を感じる方は、オールインワンアイテムを使うと◎。疲れた日や時間がない日のためにも、パパッとケアできるオールインワンアイテムを一つ常備しておくと便利です。
エイジングケアで健やかな美肌に
エイジングケアは乾燥予防、そして継続したケアが大切です。肌の衰えの他にも、体力の低下や髪の毛が細くなるなど、体に関するエイジングサインもあります。悩みが増えた際も肌のエイジングケアと同様、自分に合ったケアを継続して行うことがお悩み解決の近道になりますよ。 エイジングケアとは若返りではなく、年相応のケアを継続して行い、年代ごとに美しい状態を目指すこと。顔も体も若返りを目標にすると、無理が生じて痛々しく見えてしまうことも…。健康な体はもちろん、乾燥知らずのうるおった肌はそれだけで自分を元気に見せてくれたり美しく見せてくれたりと、嬉しいポイントがたくさんあります。自分に合った無理のないケアで、うるおいのある健やかな美肌を目指しましょう。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。