表面はベタ付いているのに、皮脂のケアを取り入れてもいまいち効果がない…。そんなお悩みを持っている方は、隠れ乾燥肌、インナードライの可能性があります。
インナードライとは、肌表面は脂性肌(オイリー肌)のようなベタつきやテカリが見えるのに、角質層は乾燥して水分が足りていない状態のこと。角質層の水分が不足することで皮脂が過剰分泌され、肌トラブルを引き起こしています。
ここではインナードライについての基礎知識や原因、適切なスキンケアと乾燥予防についてお伝えします。
インナードライに関する基礎知識
インナードライとは、角質層が乾燥し、肌表面に皮脂が過剰分泌されている状態。
ぱっと見だと脂性肌(オイリー肌)によく似ているので、自分の肌質を間違って認識している方も多くいるかもしれません。ここではインナードライとはどのような状態なのかを詳しく深掘りしていきます。
インナードライとは?
インナードライとは肌の水分と油分のバランスが乱れ、隠れ乾燥肌になっている状態です。
肌表面が皮脂で覆われていても角層の水分量が不足していると、角層内の乾燥を防ごうと肌の防御機能が働き、皮脂が過剰に分泌されてしまいます。こうなると肌表面は乾いていないのに肌の内側に潤いがない状態となり、インナードライになります。
インナードライを放置すると、肌荒れや、シワ、たるみなどにつながるおそれがあります。
特徴として「肌にべたつきがある」「洗顔後に肌がカサカサする」などがありますので、自分の肌をチェックしてみてください。
インナードライと脂性肌(オイリー肌)の見分け方
角層内の乾燥を防ごうとして皮脂が過剰に分泌されている状態は、一見すると脂性肌(オイリー肌)のようにも見えます。
そのため、本当はインナードライなのに「自分は脂性肌(オイリー肌)だ」と勘違いしている方もいるのではないでしょうか。
インナードライと脂性肌(オイリー肌)の違いが分かりやすいのは、洗顔後の肌状態の違い。
脂性肌(オイリー肌)の方は洗顔後に少しずつ皮脂が現れますが、インナードライの方はつっぱりやカサつきを感じやすいので、見極める際に参考にしてくださいね。
インナードライになる原因
インナードライの特徴は「角質層は乾燥しているのに、肌表面はオイリーな肌」と「洗顔後のつっぱり感」。
ここではその原因を、4つのポイントに分けて解説します。
肌の水分不足
まず原因として考えられるのは、普段のスキンケアで角層内の水分を補給できていないことです。
角質層に水分が行き届いていれば肌の防御機能が働いて皮脂の過剰分泌が起こることもありません。
使用しているスキンケアアイテムが肌に合っていない、水分と油分のバランスが整っていないと言えるでしょう。
肌表面のテカリから脂性肌だと思い込み、アルコールで拭き取るなどのケアを行なっている、化粧水を付けずに乳液やクリームのみでケアしているなど、心当たりはありませんか?
しっかり乾燥予防できているかどうか、自分のスキンケアを振り返ってみてください。
乾燥
空気の乾燥によって肌のうるおいが失われることも、大きな原因となります。
スキンケアはしっかりできていても、季節や気温によっては、室内外問わず肌が乾燥してしまいます。秋冬の乾燥はもちろん、暖かい時期でも室内のエアコンや扇風機などによる送風などが乾燥を起こす原因に。
朝晩のスキンケアは、高保湿タイプや長時間乾燥を防ぐようなアイテムを取り入れると日中も乾燥を予防することができます。
また、セラミドやアミノ酸が配合されたしっとりタイプのミスト化粧水などをこまめに使用するなど、肌状態に気を配りましょう。
紫外線
紫外線ダメージと聞くとシミやシワを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、乾燥の原因の一つでもあります。
紫外線を浴びることで肌表面が乾燥したり、角層内のうるおい成分がダメージを受けたりするので、一年を通して紫外線対策を行うと安心でしょう。
多くの人は、真夏以外は紫外線対策が不十分になりがちで、それが乾燥を招いてしまっていることも。
紫外線は車や部屋の窓からも入ってくるので、油断は大敵です。
スキンケアの習慣として必ず日焼け止めを塗布する、外出時は帽子や日傘を使うなど、紫外線対策と乾燥予防を心がけてみてください。
ホルモンバランスの乱れ
スキンケアに気を配り、紫外線対策も万全なのに肌状態が改善されないとお悩みの方は、ホルモンバランスの乱れを疑ってみてください。
ホルモンバランスは不規則な生活や偏食など、現代人の抱える悩みに直結しています。
生活習慣が乱れるとホルモンバランスが崩れ、ターンオーバーが正常に行われなくなることでバリア機能が低下し、肌の乾燥を招いてしまいます。
ついついしてしまう夜更かしや砂糖の摂りすぎ、油の摂りすぎなど、知らず知らずのうちについた生活習慣がホルモンバランスを乱す原因になっていることもあるので要注意。
肌の状態に悪影響を与えてしまう可能性がありますよ。
インナードライの適切なスキンケア
次はインナードライの方に適したスキンケアをご紹介します。
洗顔料の選び方やそもそも乾燥を予防するにはどうしたらいいかなど、知ればすぐに実践にうつせる実用的なお話なので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
うるおいをキープしやすい洗顔料で洗う
クレンジングや洗顔の際に、スッキリとした洗い上がりを求めてつい洗浄力の強い洗顔料を使っている方も多いのではないでしょうか。
汚れを落とすことは大切ですが、必要な皮脂、潤いまで洗い流してしまうのはNGです。
洗浄力が高すぎる成分は避け、保湿成分が配合された石けんや洗顔料をよく泡立てて洗顔しましょう。たっぷりの泡でやさしく顔全体を洗い、すすぎの際はぬるま湯でこすらず流します。
洗った後タオルでごしごし強く拭かない、長い時間をかけずに1分以内に手早く洗う、なども洗顔のコツなので日々の洗顔に取り入れてみてくださいね。
水分と油分のバランスを整える
インナードライの主な原因は、角層内の水分が不足していること。
化粧水を角層まで十分に浸透させ、肌をやわらかくほぐすことで、うるおいのある健康な肌に近づくことができますよ。
水分と油分のバランスが崩れると乾燥はもちろん、ニキビや毛穴のブツブツといった他の肌トラブルを引き起こす原因になる可能性もあります。
化粧水やローションで肌に水分を与えた後も、美容液で美容成分を補給する、乳液やクリームでうるおいを閉じ込めるなど、せっかく与えた水分が蒸発しないようにバランスよくケアを行いましょう。
乾燥を予防する
角質層の乾燥が原因で起こるインナードライは、肌に乾く隙を与えず、乾燥する前に予防することが重要です。
スキンケアアイテムを選ぶ際は長時間うるおいが続くかどうかに重点をおき、自分の肌質に合ったものをチョイス。朝のスキンケア後から帰宅するまで、ずっと肌のうるおいをキープしてくれます。
朝の忙しい時間に多くのアイテムを使ったり、水分や油分のバランスを自分で考えるのが面倒という方は、オールインワンアイテムを使用してみてはいかがでしょう。
化粧水・美容液・乳液・クリームの機能を一度で補って乾燥予防することのできるオールインワンアイテムなら、手早くケアしやすいのでおすすめです。
インナードライは乾燥予防で改善
インナードライの原因は、角質層が十分に保湿されていないこと。
まずはしっかりと水分を与え、長時間乾燥を防ぐ乾燥予防を意識しましょう。
さらに、肌の水分不足だけでなく、ホルモンバランスの乱れや紫外線対策などにも気を配り、水分と油分のバランスの取れた肌を目指したケアを。
表面のテカリに気を取られて、あぶらとり紙を多用したり何度も洗顔を行ったりと“油分を取る”ケアに重点を置くのは逆効果。テカリやベタつきが角質層の乾燥からきていることを理解し、しっかりと乾燥予防対策を行いましょう。
肌の内側を整えることが肌表面の美しさを整える近道です。
自分の肌質を見極めて、正しい乾燥予防対策を行ってくださいね。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。