乾燥によるぶつぶつ(皮膚炎)のかゆみがつらい…正しい対処法は?

肌に赤みやぶつぶつができると、同時にかゆみを伴ってたまらなくなった経験はありませんか?かゆいからといって掻いてしまうと、悪化して皮膚が傷ついたり、患部が広がって治りにくくなることも。
今回は肌にぶつぶつ、かゆみが起きる際に考えられる病気や原因、かゆみや炎症を抑える対処法についてご紹介します。

肌のしくみを正しく理解するとともに、ぶつぶつ、かゆみを引き起こす前にあらかじめ予防しておくポイントも合わせてチェックしてください。
乾燥 かゆみ ブツブツ

乾燥でぶつぶつ(皮膚炎)ができる原因

ふと気が付くとぶつぶつした発疹や肌荒れが気になったり、なんだかかゆくて皮膚が赤みを帯びている…実はこれは肌が出しているSOS。発症の原因は一体どこにあるのでしょうか?

乾燥によってぶつぶつ(皮膚炎)ができる仕組み

乾燥によって肌にできるぶつぶつは、バリア機能が低下した皮膚が外部刺激により炎症を起こしているサイン

肌にはもともと潤いのバリア機能が備わっており、肌表面は汗や皮脂、剥がれた角質などによってできるバリアで刺激から守られています。肌から皮脂と水分が失われると乾燥状態となり、このバリアが薄くもろくなります。その状態で外部からの刺激を受けると、湿疹などの症状につながってしまうのです。

主な外部刺激は、摩擦などによる物理的な刺激、化粧品等に含まれる化学物質、花粉、ほこりについた細菌、ハウスダストなど。また、汗も塩分やアンモニア、雑菌やアクセサリーから溶け出す微量の金属成分などが含まれ、刺激の原因になります。

また、ぶつぶつは乾燥や外的要因以外にも、内的要因によって発生する場合もあります。例として体質や遺伝、ホルモン代謝などがあげられますが、いずれも乾燥による悪化が指摘されています。

ぶつぶつ(皮膚炎)にかゆみが生じる原因

かゆみとは、本来皮膚が刺激を感じた際に、その原因を取り除こうと脳が指令を出して起きる防御反応のようなもの。ぶつぶつができた乾燥状態の肌が、外部刺激に過敏に反応しているためにかゆくなるのです。
ぶつぶつができている肌は、皮膚の表面から潤いが失われ、乾燥して表皮が薄くなっている状態です。表皮の最表面にある角層の厚さは約0.02ミリ。さらに乾燥や摩擦によって剝がれると、ラップよりも薄く弱い状態になってしまいます。

刺激によりかゆみを感じると、本来真皮の間にある神経線維が活性化され、表皮まで伸びはじめます。すでに薄くなった表皮内に神経線維が増加するため、肌は非常に刺激を受けやすく敏感な状態に。
さらに、刺激を受けると、真皮内の細胞からはヒスタミンなどのかゆみ物質が分泌されて脳にかゆみの信号を送ります。
刺激を感じた結果、「掻きたい」という欲求が起きるのですが、掻いてしまうと角層を壊してさらにバリア機能を低下させ、炎症がどんどん悪化する悪循環に陥ります。

かぶれやじんましんなどで起きるかゆみも同様のしくみで起きていることが多く、皮膚科で外用薬として抗ヒスタミン薬や副腎皮質ホルモン剤が処方されるのはこのため。ヒスタミンを抑えることでかゆみなどのアレルギー症状を抑制する働きがあります。

乾燥によるぶつぶつ(皮膚炎)・かゆみの対処法

乾燥によってバリア機能が弱った肌は刺激に弱く敏感な状態。一度肌にあらわれたぶつぶつ、かゆみに対し、どのようなケアをすれば悪化を防げるのでしょうか?

外部刺激を避ける

まずはかゆみの原因である外的刺激をできるだけなくしましょう。日用品の選び方やちょっとしたポイントに気を付けるだけでも、肌が受ける刺激を減らすことができますよ。

1.肌に触れる衣類は天然素材のものを選ぶ

化学繊維が肌に触れて起きる「化繊負け」などは、子どもにもみられる肌トラブルです。摩擦や静電気が起きやすく、湿疹、アトピー性皮膚炎などの際にも避けたほうがいいといわれています。
触れてチクチク感じるような生地は選ばないことが大切です。下着やインナーだけでも天然素材のコットンやシルクを選ぶようにするとよいでしょう。

2.顔、体をゴシゴシ強く洗わない

肌の摩擦は最も避けるべき動作です。
洗顔料や石けんはよく泡立てて洗い、入浴後に水分をふき取る際はタオルでそっと押さえるように拭きましょう。

3.刺激成分の含まれたケアアイテムを避ける

アルコール(エタノール)、パラベン、香料、鉱物油などが配合されているスキンケアアイテムは避けましょう。敏感肌、乾燥肌用の優しいものをチョイス。
また、新型コロナウイルスの蔓延防止のためアルコール消毒の機会が増えましたが、保湿を重視した消毒アイテムを選んで持ち歩くのも工夫の一つです。

4.洗浄力が強いアイテムは避ける

シャンプーや洗顔料、また食器用洗剤などにも言えることですが、洗浄力が強いアイテムは油分を強力に取り除くように作られています。そのぶん、肌に必要な皮脂までも洗い流してしまい、肌の水分を守っていた皮脂膜が損なわれてしまうのです。すると角質の水分の蒸発を防ぐことができなくなり、乾燥肌の悪化を招きかねません。

5.清潔な状態に保つ

肌表面の雑菌や付着物などをある程度取り除き、常に清潔な状態に保つことで、肌トラブルを防ぐこともポイントです。
汗をかいたらこまめに拭き、外出の際は花粉をガードできるメイクアイテムやグッズを使うのも良いでしょう。帰宅後はすぐに肌に負担の少ない洗顔料でやさしく洗顔をし、乾燥をしっかり予防できるスキンケアで肌のコンディションを整えましょう。

炎症やかゆみを抑える薬を使う

症状が強かったり、長引いたり、何度も繰り返す場合などには早めに医療機関(皮膚科)を受診し、医師に相談しましょう。

肌のぶつぶつが赤みを帯びていたり、掻き壊しなどで症状が悪化していたりしたら外用薬を使います。かぶれやじんましんには抗ヒスタミン薬や抗アレルギー剤、アトピー性皮膚炎にはステロイド外用剤や免疫調整外用剤など、炎症の原因によって必要な薬は異なります。皮膚科を受診すれば適切な抗炎症薬やかゆみ止め軟膏を処方してもらえますし、加齢などによって起きる皮脂欠乏性湿疹などには角質をやわらかくする作用のある尿素が含まれたクリームなども効果的です。
市販でも様々な皮膚薬があるため、薬剤師に相談した上で購入すると良いでしょう。

乾燥によるぶつぶつ(皮膚炎)・かゆみを予防するスキンケア

一度肌にぶつぶつ、かゆみが起きてしまうと、つい搔いてしまい、肌を痛める悪循環に陥りがちです。
一番いいのはあらかじめ予防しておくこと。ぶつぶつ、かゆみを起きにくくするスキンケアとは?

日頃から肌を保湿する

肌の乾燥を防ぐには、肌のバリア機能を保つための3つのうるおいポイントに効果的な保湿が必要です。

皮脂膜(ひしまく)

皮脂膜は、皮膚の最上層、角層(角質層)の表面を覆っている天然の保護膜です。油分でフタをすることで、肌内部の水分の蒸発や外部刺激を防ぐ役割をします。

天然保湿因子(NMF)

NMFとは、ナチュラルモイスチュアライジング(Natural Moisturizing Factor)の略で、肌がもともと持っている天然保湿成分の総称です。肌に水分を蓄える働きがあり、アミノ酸など水となじみやすい性質を持つ成分でできています。

細胞間脂質

主にセラミドからなる細胞間脂質は、水分を抱え込む役割と同時に、細胞同士をつないで角層細胞の間を埋め、外部からの刺激の侵入を防ぐ役割を担っています。

この肌のバリア機能をきちんと整えるため、朝晩2回の洗顔、入念な保湿ケアを怠らないようにしましょう。入浴後にはすぐに顔と身体を保湿し、水仕事などの際にはこまめにハンドクリームを塗るなど、気になる部分を乾かさないようあらかじめ予防することが大切です

室内の環境を適切に保つ

秋冬は、特に室内の乾燥に注意。屋外との温度差が高くなると、屋内は乾燥しやすくなるため、エアコンの温度を高く設定しすぎないように心がけましょう。
空気の入れ替えを適度に行い、加湿器の設定は湿度60%前後にすると肌やのどのうるおいに最適です。室内に濡れたタオルや洗濯物を干すのも湿度を保つ工夫の一つ。

生活習慣を見直す

生活習慣の乱れによりホルモンバランスが不安定になり、肌のターンオーバーに影響が出てしまうことがあります。
健やかな肌であれば、肌の奥で新しい細胞が作られ、古い細胞が順々に押し出されるターンオーバーが行われます。このターンオーバーが乱れると肌のバリア機能が低下し、乾燥を招いてしまうのです。

ターンオーバーは正常なホルモン分泌によって行われるため、睡眠不足や偏った食生活、また過度の飲酒、喫煙、ため込んだストレスなどはその乱れの原因となります。また、加齢による新陳代謝の低下も原因の一つなので、適度な運動などを心掛けて日頃の生活改善を意識しましょう。

乾燥肌のかゆみ、ぶつぶつに関するよくある質問

ぶつぶつ、痒みが生じてしまった際によく挙がる質問をまとめてみました。心当たりのある方は参考にしてみてくださいね。

Q. かゆみ、ぶつぶつができやすい部位はある?

A. 特に乾燥しやすい部位は、目元、頬上部、顎、首、ひじ、ひざ…など皮脂腺が少ない部位。
また、背中などの刺激を受けやすい部位も、肌のバリア機能が衰えた結果として乾燥してしまうことがあります。

肌の中で乾燥しやすい部位は、保湿ケアを怠ってしまうと乾燥が予防できず、外的刺激にさらされてブツブツ、赤み、かゆみなどの肌トラブルを引き起こすおそれがあります。

Q. かゆみ、ぶつぶつが生じやすい季節はある?

A. ぶつぶつの原因となる要因は様々あるため、一年を通じて対策することが大切といえるでしょう。
季節によって、肌にストレスを与えやすい原因は異なります。例えば春や秋に舞う花粉、夏の強力な紫外線と発汗、秋冬の外気温の低下による乾燥など。
ただし、紫外線は一年中降り注いでいるため、UVケア、乾燥対策は日々必ず行うべき必須ケアです。

Q. 鳥肌みたいな湿疹がかゆい…対処法は?

A. 鳥肌のようにぶつぶつとした湿疹ができることがあります。
背中、二の腕などにできることが多く、これはアトピー性皮膚炎の症状である可能性があります。

アトピー性皮膚炎は遺伝、アレルギー、生活習慣などが関係していると考えられていますが、まずは肌に負担をかけないよう乾燥の予防を徹底することが効果的。そのほか、ストレスや食生活に気を配り、飲酒、喫煙などの生活習慣を見直すとよいでしょう。
皮膚科でアトピー性皮膚炎と診断された場合は、医師の指導のもと、適切な処方で治療に当たりましょう。乾燥を防ぐため保湿を中心にセルフケアを行い、肌環境の改善を図ることが大切です。

Q. 皮膚に円形状のカサカサが…対処法は?

A. 皮膚の一部に皮むけが起きたりして、白くカサカサすることがあります。
これは皮膚の疾患である可能性があるため、皮膚科での診断をおすすめします。

代表的な疾患としては貨幣状湿疹、体部白癬 など。
貨幣状湿疹とは、かゆみを伴う丸い発疹が広範囲にできる症状で、摩擦を避けて、十分な保湿を続ける必要があります。
体部白癬はかゆみを伴った赤色やピンク色の円形の発疹ができるもの。真菌の感染によるものなので、保湿だけでは治りません。皮膚を清潔に保って医師の指示に従い対処しましょう。蒸れにくい、肌に刺激を与えない素材の服を着て、かゆくてもかかないよう保護することも心がけましょう。

毎日の保湿習慣を見直し乾燥によるぶつぶつ(皮膚炎)の予防を

ぶつぶつ、かゆみをはじめとした肌トラブルは、何らかの原因で皮膚のバリア機能が低下したうえで、外部刺激によって悪化しやすくなると言えます。しかしバリア機能を健やかに保ち、肌本来の力で外部刺激から肌を守るよう予防を徹底すれば怖くはありません。
日常的にこまめに肌にうるおいを補給し、全身の中でも皮脂の分泌が少なく乾燥しやすい部位には手厚く乾燥を予防できるようなスキンケアを施しましょう。

特にいまは毎日手指の消毒が行われ、手が非常に乾燥しやすくなっています。ハンドクリームやワセリンなどの保湿剤を持ち歩き、気になったら塗布するようにしましょう。
その他、頬や目、口の周りやひじ、ひざ、かかとなどを重点的にケアすると効果的。
乾燥予防に気を配ったケアを続けることで、肌がSOSを出す前に、健康的な美肌をキープすることができますよ。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

タイトルとURLをコピーしました