「自分はずっと敏感肌だ」とあきらめていたりしませんか?
急に肌がカサカサしてかゆみがでたり、いつもの化粧品が合わなくなったと感じたり…。そんな繰り返される肌トラブルに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
敏感肌は、乾燥、ほこり、季節の変わり目、睡眠不足、体調不良、生活習慣などによって、さまざまな症状が現れます。ちょっとした刺激ですぐに肌の調子が崩れるのは大きなストレスになってしまいますよね。
そこで今回は、健やかな美肌を目指すためにはどうすればよいのか、敏感肌や乾燥肌の特徴や原因、ケア方法についてご紹介します。原因を知ってしっかりケアをしていきましょう。
肌悩みを抱える方の質問をもとにしたQ&Aもありますので、この記事をきっかけに疑問やお悩みを解消できるとうれしいです。
敏感肌とは?
「私、敏感肌なの」とお悩みの方も、実はもともとは敏感肌ではない可能性があります。
ここでは、敏感肌の特徴や原因をご紹介したいと思います。
敏感肌の特徴
一般的に「敏感肌」とは、肌のコンディションが不安定な状態のこと。
以下のような症状が現れ、刺激に対して過敏になり肌トラブルが起きやすくなります。
- 肌のつっぱり
- カサつきやヒリヒリ感
- 赤みや炎症などの肌荒れ
敏感肌になる原因
乾燥や外部刺激などにより、バリア機能が低下することで敏感肌になりやすくなります。
そのほか加齢や生活習慣、女性の場合は生理周期によっても肌が敏感になる場合もあります。
敏感肌に傾いていると感じたときは、ファンデーションなどのメイクアイテムや、ローションなどのスキンケアアイテムを敏感肌用のものに変える、刺激性のあるものをさけるなど、その時々の肌の状態に合わせて対応しましょう。
乾燥によるバリア機能の低下
保湿不足で肌が乾燥すると、肌表面にある角層の細胞間脂質が減少して、肌のハリやうるおいを保つことができなくなります。
セラミドを主体とする細胞間脂質は、細胞同士をつないで外からの刺激に抵抗する働きや、角層の下にある表皮や真皮からの水分の蒸散を防ぐ働きを担っています。
細胞間脂質が失われると外部刺激に弱くなり、すぐに炎症などの肌トラブルにつながってしまうのです。
外部刺激
肌への外部刺激には以下のようなものがあげられます。
- ゴシゴシと洗顔をすることやマスクの着用による摩擦
- 紫外線
- 花粉、ホコリ、雑菌の付着などによる刺激
- スキンケア・メイクアイテムの配合成分による化学物質による刺激など
※湿疹や炎症が改善されない場合や、花粉症などのアレルギーがある場合は皮膚科への相談も検討してみましょう。
敏感肌の基本的なスキンケア
敏感肌の特徴と原因をご紹介しましたが、どのようにケアしたら良いのでしょうか。肌に優しい基本的なスキンケア方法をご紹介したいと思います。
朝のケア
朝の洗顔はとても大切です。
肌に付着したホコリや雑菌などを洗い流し、夜の間に分泌された過剰な皮脂を洗い流す目的で行われます。
洗顔は洗顔料をよく泡立て、ぬるま湯で優しく洗いましょう。
洗顔時に注意すべきポイントは5つ。
- 清潔に洗顔するため、最初に手を洗う
- きめ細かい泡が立つように泡立てネットを使う
- 2分以内を目安に素早く洗う
- 摩擦による刺激で肌にダメージを与えないよう意識する(手で肌をこするのではなく、泡を肌の上で滑らせるイメージ)
- 特に肌が敏感になっているときは、Tゾーン、Uゾーンのみの洗顔に留める
保湿することで肌のバリア機能をサポートし、日中に肌が受ける刺激を防ぐことができます。
肌の表面は乾いていなくても内側は乾いているインナードライという症状もあるため、乾燥が気にならない場合でも毎日の感想予防はしっかりと行いましょう。
保湿は以下のことに気を付けて行うとよいでしょう。
- 化粧水・美容液・乳液・クリームは保湿成分が豊富なアイテムを使用して肌の水分量と油分量のバランスを整えて乾燥予防を意識する
- ケアの時短をしたい場合は、オールインワンアイテムが効果的
- 日焼け止めを塗り、紫外線対策をする
日中のケア
紫外線は肌にダメージを与えるため、季節問わず対策が重要です。
日中のケアで気をつけたいポイントはこちら。
- 基本的な紫外線対策(帽子やサングラスの着用、日焼け止めの塗布など)は欠かさないようにする
- 外気やエアコンによる乾燥予防として、こまめにクリームなどで保湿すると効果的
炎症を起こしている箇所は特に触らないようにしましょう。
顔に触れずにケアができるミスト化粧水などがあると手軽に保湿できます。
夜のケア
夜は、日中に付着した肌の汚れやメイクをクレンジングと洗顔でしっかりと落とし、きれいな肌状態にリセットする必要があります。
クレンジング・洗顔
クレンジングオイルは、洗浄力の強すぎないアイテムを使用しましょう。皮脂を落としすぎると、肌のバリア機能が低下してしまうため要注意です。
また、スクラブやザラザラした成分入りのアイテムで洗顔するのは止めましょう。肌を傷つけてしまい、乾燥や黒ずみの原因になります。
シャンプーの泡などが顔に付着したままになることをさけるために、洗顔は洗髪のあとにすると安心です。
洗顔後のスキンケア
洗顔後は、朝と同様のスキンケアを行ったうえで、ローションや美容液、ジェルクリームなどでうるおいを十分に補給しましょう。
たっぷりの潤いが必要とはいえ、ケアのしすぎで睡眠不足になっては本末転倒。
ターンオーバーが乱れて肌トラブルを招かないよう、手早く乾燥予防ケアできるオールインワンアイテムを選ぶのも一つの手です。
敏感肌に適したスキンケアアイテム選びのポイント
肌のコンディションが不安定な敏感肌。ではコンディションを整えるためにはどんなスキンケアアイテムを選べばよいのでしょうか。
低刺激
敏感肌の方は特に、低刺激処方のスキンケアアイテムを選びましょう。肌に負担を与える恐れのある成分が配合されたものは避けるべき。
パラベン、アルコール、石油系界面活性剤、合成香料、合成着色料、鉱物油といった添加物が含まれていないアイテムがおすすめです。
新しいアイテムを使用する場合は、まず腕の内側などでパッチテストを行い、肌に異常がないかを確かめてから、問題がなければ顔のお手入れに使用してください。
保湿成分が豊富
敏感肌の方は、乾燥しやすい肌になっていることが多いため、保湿成分が十分に配合されたアイテムで潤いを補うことが重要になります。敏感肌用のアイテムを使うこともおすすめです。
ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲン、プロテオグリカンなどの保湿成分が高配合されているものなら、肌をたっぷりと潤わせることができます。
しっかりと保湿を行うことで、乾燥によって衰えた肌のバリア機能が向上し、健やかな肌に近づきます。
化粧水で潤いを補うだけではなく、乳液やクリーム、ジェルなどで水分が蒸発しないように蓋をして潤いを肌に閉じ込めて乾燥予防することが大切です。
抗炎症成分を配合
敏感肌は非常にデリケートな状態で、ちょっとした刺激でも炎症が起こりやすい状態になっています。抗炎症成分が入っているアイテムなら、スキンケアと同時に炎症による肌荒れ予防も期待できます。
代表的な抗炎症成分はグリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリルなど。
化粧品の裏面などに書かれた成分表にも気を配り、少しでも肌に優しいものを選びましょう。
敏感肌に関するQ&A
肌の不調が続くと気持ちまでしずみがちに…。「この症状はどうだろう?」「こんなときどうすればいいだろう?」という、敏感肌の方の質問にお答えします。ぜひ参考にしてくださるとうれしいです。
Q. 敏感肌とアトピー性皮膚炎の違いは?
A. まず大きな違いは、敏感肌は肌の状態、アトピー性皮膚炎は病気ということ。
敏感肌もアトピー性皮膚炎も、肌のバリア機能の低下によってかゆみなどの症状を起こしやすいという共通点はありますが、アトピー性皮膚炎は遺伝的、体質的な素因や食物、花粉、ほこり、ダニなどアレルギーの原因物質により起きることが多い病気です。そのためセルフケアでかゆみなどが改善されない場合、アトピー性皮膚炎を疑い皮膚科に行くと良いでしょう。
敏感肌とアトピー性皮膚炎はどちらも汗や衣服の擦れ、掻くなどの肌への刺激によって炎症を引き起こすこともあるため、肌のバリア機能の低下を防いで肌を乾燥から守り、刺激しないようにすることが大切です。
皮膚科で処方された薬などを塗るほか、スキンケアは敏感肌のケアを参考に行うことがおすすめなので、試してみてくださいね。
Q. 敏感肌のメイクアイテムの選び方は?
A. メイクアイテムは、肌に優しく保湿成分が配合されたアイテムを選ぶと安心です。
- フェイスパウダーやパウダータイプのファンデーションは塗り過ぎると必要な皮脂まで吸い取ってしまう可能性があるため、付けすぎない
- 化粧下地も敏感肌用のものを選ぶ
- うるおいを逃がさないように油分が多いリキッドタイプやクッションタイプのファンデーションを選ぶ
敏感肌対策は乾燥予防から
敏感肌の対策には、何よりも肌を乾かさず、乾燥をあらかじめ防ぐことが重要です。
「肌に潤いを補って、その潤いを一日中閉じ込める」 ココが一番のポイントです!
保湿に少し気を使うくらいならできそうな気がしませんか?日々のスキンケアに1つでも取り入れていただけたらうれしいです。
最近は敏感肌用のメイクアイテムや高保湿のコスメもあるので、自分の肌質に合わせて広い範囲から商品選びを行うことも、敏感肌の方には大切なこと。
肌に合わないものを使い続けることは肌への負担になるため、購入時に注意するように気をつけましょう。
最後にもう1つ、敏感肌の状態で化粧品を変更するのは勇気がいることです。
乾燥予防への1歩踏み出すためにも、新しいアイテムはまず、パッチテストを腕の内側など目立ちにくい場所で行ってくださいね!
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。