口周りがカサつく、粉吹きやザラつき、ニキビ、吹き出物が気になる…など、口元の肌悩みは多いもの。
感染症が気になる季節はマスク着用が日常的な習慣となりますが、その代わりに口周りの肌トラブルに悩まされている方も多いのではないでしょうか?日中はマスクによって隠されているとはいえ、鏡に映る素顔もきれいな肌を保ちたいですよね。
今回は口周りの肌トラブルの原因、特に乾燥にフォーカスし、その原因を解説。効果的なケア方法もご紹介します。
口周りはなぜ乾燥しやすいの?
鏡を見た際、顔の中ではまず目につきやすいのが口周りの肌トラブル。特にカサつきが気になりやすい口元ですが、なぜ乾燥しやすいのでしょうか。
口周りの皮膚の特徴
口周りの皮膚は皮膚が薄く、汗腺や皮脂腺が少ないのが特徴です。目元と同様、皮脂量が少ないため、角層に水分や皮脂が蓄えられにくいため、顔の中でも特に乾燥しやすい部分。肌荒れが起きやすかったりターンオーバーが乱れやすかったりして、古い角質が肌に残りがち。角質肥厚によってかさつき、ざらつきなどの肌悩みにつながります。
口周りの乾燥を招く原因
口周りの肌悩みが起きやすい理由…それは肌質に加え、摩擦などの外的刺激を受けやすいパーツという点も挙げられます。ファンデーションがよれないように念入りにメイクアイテムを重ねたり、食事の際などは口元をぬぐったりすることが多い口元。また口周りを舌で舐めてしまう癖の方、さらに花粉症の人や、コロナ禍によるマスクの着用習慣により、着脱の際の口元への刺激が何度も起きて荒れやすくなった…なんてお悩みには心当たりがある人も多いのではないでしょうか。
さらに、マスクを長時間着用すると、マスク内では湿度や温度が高くなりがちです。はずすと急な湿度・温度の変化が起きて、乾燥を招くともいわれています。
口周りの乾燥が進行したらどうなる?
皮膚の薄い口周りで起きる乾燥は、皮膚にとって大きなダメージとなります。皮膚内部の水分が不足しているためハリ、弾力が失われ、小じわの原因に。さらに乾燥によってキメの乱れやざらつきにつながったり、皮がむけるなどの症状が起きたりする場合もあります。
生活習慣の乱れや乾燥によって健やかなターンオーバーが行われなくなると、角質が溜まり毛穴に皮脂が詰まりやすくなることも。そこでアクネ菌などの菌が繁殖すると、ニキビや吹き出物(大人ニキビ)が発生するケースもあるので要注意です。
口周りの乾燥を予防するには?
口元の乾燥によってさまざまな肌トラブルが起きることが分かったところで、乾燥を予防するためのケアについてもみていきましょう。
洗顔はサッと優しく
口周りの肌に刺激を与えないよう、洗顔の際は石けんや洗顔フォームをよく泡立てて、やさしくなでるように洗顔するとよいでしょう。
保湿成分配合のクレンジング剤、石けんなど、必要な皮脂を残したまま汚れや古い角質を洗い流せるアイテムがおすすめ。メイクを落とす際は、オイルやゲル状の肌に負担の少ないものを。洗いすぎや、洗浄力が強すぎる洗顔料は、肌の油脂をとり過ぎる可能性があるのでNGです。ダブル洗顔不要のクレンジングアイテムを使うと摩擦を抑えやすいですよ。
また、念入りに長時間洗うことが肌にとって効果的なケアだと勘違いしている人がいますが、口周りや頬、目元などの乾燥しやすい部位は手早く洗うほうが肌に負担がありません。脂っぽさやべたつきが気になる場合は、皮脂が多く分泌されるTゾーンを中心に38℃程度のぬるま湯で洗いましょう。
スキンケアには高保湿アイテムで湿潤状態に
洗顔後は保湿成分が豊富に配合されたスキンケアアイテムでしっかりと保湿を。セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸などの保湿・美容成分が含まれたものなど、肌を長時間、湿潤状態に導くようなアイテムがおすすめです。
化粧水はパッティングで叩き込むのではなく、肌へ刺激を与えないようコットンや手でやさしく浸み込ませましょう。乾燥しやすい口元へはそっと重ねづけし、定期的にコットンパックやシートマスクで口周りを保湿すると、うるおいの集中ケアができます。
乳液、クリームなどの油分でしっかりとカバーし、水分の蒸発を防ぐのも忘れずに。オールインワンアイテムなら、アイテムの重ね付けもなく時短がかなうため、忙しい朝などにおすすめです。
メイクは薄づけで、UVケアも忘れずに
スキンケアで十分に肌を保湿したら、メイクアイテムを塗布していきます。乾燥予防に特に重要なのは日焼け止め。紫外線ダメージは乾燥の一因となるため、念入りにUVケアを行いましょう。
UVカット効果のあるアイテムやBBクリームなど、機能性の高いメイクアイテムも上手に使いましょう。その後、清潔なスポンジ等で下地、ファンデーションなどを薄く塗っていきます。リキッドファンデーションやクリームファンデーションを使うと、肌に密着しやすくなじみやすいですよ。
べったりと厚塗りすると、乾燥した際によれやすく粉浮きする可能性があるため、カバーしたい箇所はスポンジで何度か重ねるのがコツです。
口周りの乾燥がひどいときの対策【症状別】
口周りの乾燥がひどく、スキンケアだけでは症状が治まらないことも。そんな時はどのように対処すればよいのでしょうか。
【かゆみ】リップクリームや保湿剤で乾燥を防ぐ
口周りの肌は薄く、乾燥を感じやすい箇所。乾燥によりバリア機能が低下すると、かゆみが生じることがあります。
その場合はなめたりかきむしったりせず、保湿ジェルなどでしっかり水分を与え、リップクリームなどの油分で保護するとよいでしょう。口周りが気になる場合無意識になめたりすると、余計に乾燥が促進するため注意してください。
【ニキビ、吹き出物】
ニキビができる前段階に起きる、過剰な皮脂分泌やターンオーバーの乱れは、肌の水分と油分のバランスが崩れている状態。
これを避けるためには化粧水、美容液、乳液、クリームなどでこまめに保湿し、水分と油分のバランスを整えることが大切です。健やかな肌状態を保つことで、肌にもともと備わっているバリア機能がキープされ、肌内部の水分を保つことができます。
スキンケアの際はノンコメドジェニックテスト済みのアイテムの使用も検討しましょう。
コメドとは毛穴に詰まった皮脂が参加したニキビの初期段階の状態を指しますが、ノンコメドジェニックテスト済みのアイテムは、使用後一定期間コメドが発生しなかった実績があるアイテムということです。毎日のスキンケアアイテム選びの参考にしてみてください。
【炎症の悪化】皮膚科の受診を検討する
このようなケアをしていても乾燥症状の改善が見られない、また肌に異変を感じることがあれば、使用を控えて皮膚科で診察・治療してもらうようにしましょう。
乾燥の改善のために保湿剤やステロイド外用剤などが処方されることがありますが、用法・用量を守って正しく使うことが大切です。
口周りの乾燥を防いで美しい素肌に
口周りのカサつきや肌トラブルは、あらかじめ乾燥を防ぐことで改善できます。
普段のスキンケアでは長時間うるおいをキープできるようなケアを心掛け、紫外線や肌摩擦などの外部刺激をできるだけ避けるよう意識しましょう。
肌の水分不足を解消することで、皮膚の薄い口周りも正常な肌状態を取り戻し、バリア機能をきちんと働かせることができるようになります。いつマスクを外した生活に戻っても自信が持てるよう、口周りの美肌をキープしましょう!
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。