子どもの肌のかゆみは乾燥性湿疹が原因?肌トラブルを防ぐポイント

「乾燥性湿疹」は、皮膚の乾燥が進んで悪化した状態のこと。
皮膚が乾燥しやすい場所に症状が現れることが多いため、大人よりも皮膚のバリア機能が低くデリケートな子どもが起こしやすい皮膚炎のひとつです。
「乾燥性湿疹」は、「皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)」や「乾燥性皮膚炎」「乾皮症」などとも呼ばれます。強いかゆみや赤み、湿疹が特徴で、基本的には保湿によるケアが効果的とされています。

今回はそんなデリケートな子どもの肌に起きやすい、乾燥性湿疹についてご紹介します。

子ども 乾燥性湿疹

子どもの肌の特徴

思春期を迎えた子どもは皮脂の分泌が活発になるためニキビなどの肌荒れで悩むことが多くありますが、思春期前の幼児~小児の時代は、皮脂の分泌が少ないため乾燥肌になりがちです。
この章ではそんな、乾燥しやすい幼児期から思春期前までの子どもの肌についてご説明します。

子どもの肌はデリケート

子どもは未発達で皮膚のバリア機能が十分ではないため、紫外線やホコリ、花粉などの外部刺激から体を守る働きが不十分です。
そのため、子どもの皮膚は大人の皮膚と比べて外からの刺激によりトラブルを起こしやすくデリケートです。

子どもの肌は乾燥しやすい

皮膚の水分が逃げないように守る役割のあるバリア機能ですが、子どもの肌は皮膚のバリア機能が大人と比べてうまく働いていないため角層の水分量を保持することが難しく、乾燥を促進させやすいという特徴があります

こちらの記事でも詳しく触れているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

子どもの肌と乾燥性湿疹

子どもが発疹しやすい皮膚炎はさまざまありますが、肌の乾燥により起こる代表的なトラブルは「乾燥性湿疹」です
ここでは「乾燥性湿疹」の特徴や、なってしまったときの対処法についてお伝えします。

乾燥性湿疹とは

乾燥性湿疹とは、肌の乾燥が進行することで発症する症状で、かゆみを伴う小さな湿疹が発生します。
子どもの肌は乾燥しやすいため、乾燥性湿疹が起こりやすいといわれています。

乾燥性湿疹によるかゆみで皮膚を掻くと、症状が悪化することもあります。悪化すると肌の表面がカサカサとした見た目と質感になり、粉を吹いたり赤い湿疹ができるため、注意が必要です。
症状がでている部位の様子をよく見て、湿疹の原因が何なのかを理解することも改善への近道です。

乾燥性湿疹の症状

乾燥性湿疹の主な症状は、かゆみを伴う小さなブツブツやひび割れがあります。
かゆいからといって患部を引っ掻いてしまうと症状が悪化し、湿疹や粉吹きなどかゆみだけでなく目に見える肌状態もひどくなってしまいます。
適切なケアを行うことが症状の緩和につながるため、市販の軟膏などを使用してセルフケアを行うよりは皮膚科を受診して必要な成分が配合された塗り薬を処方してもらうことがおすすめです。

なぜかゆみが生じるのかについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。合わせて目を通してみてくださいね。

子どもの乾燥性湿疹や肌トラブルを防ぐポイント

子どもの肌はとてもデリケート。乳児のころはおむつかぶれや乳児湿疹、脂漏性皮膚炎、少し成長して小児になるとあせもやウイルス性いぼ(尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい))、細菌に感染することによって発症する伝染性の水いぼ(伝染性軟属腫)やとびひ(膿痂疹(のうかしん))など、年齢によってさまざまな肌トラブルを引き起こします。
ここでは乾燥性皮膚炎はもちろん、それ以外の皮膚疾患にかかった時も役立つ肌トラブルを防ぐポイントをご紹介します。

ポイント1 洗濯に使用する洗剤

洗剤の洗浄成分が肌に刺激となる場合があるため、大人と同じ洗剤を使うのではなく低刺激の洗剤を選ぶと安心です。
特に子どもが生後1年以内程度の赤ちゃんときはベビー用の洗剤を積極的に使うと良いでしょう。

ポイント2 衣服の素材

肌を刺激しやすい衣服を避けることも、肌が敏感な子どもが快適に毎日を過ごすために大切なポイントです。
ちくちくと痛みを感じる、肌と擦れやすいなど、ナイロンやアクリルなどの化学繊維を使った衣服は刺激になるものがあるため、木綿の製品など肌触りが良いものを着せると良いでしょう。
刺激を感じる衣服の下に肌にやさしい素材でできた肌着を重ねることも効果的なので、試してみてくださいね。

ポイント3 お風呂の温度

熱いお風呂は肌のうるおいを守る皮脂を洗い流しやすいため、湯船やシャワーで使うお湯の温度は体温より少し高い38度程度を目安にすると肌が敏感な子どもでも快適です。

ポイント4 保湿

乾燥がひどい場合以外にも、お風呂上がりに顔と体を保湿する習慣をつけておくと、大きく肌状態が揺らぐことを予防することができます。オイルやクリームなどの保湿剤を使用し、皮膚のバリア機能を整えましょう。

保湿剤はデリケートな子どもの肌に合わせて、低刺激のものを選ぶように心がけましょう。
香料などの刺激のもとになるかもしれない成分が入っているものはなるべく避け保湿力は高いが余分なものは入っていない、市販のワセリンやシアバター、かゆみ止めなどを選ぶと安心です。
どうしてもかゆみをがまんできない場合は、皮膚科の診断を受け、処方薬をもらうこともおすすめです。

新生児の肌ケアは特に気を使う方も多いかと思いますので、赤ちゃんのスキンケアについてまとめた記事もご紹介します。
不安な方や自分のやり方が合っているか確かめたい方は、参考にしてみてください。

子ども 乾燥性湿疹

乾燥予防で子どもの肌を守ろう

乾燥予防によって肌のバリア機能を高めて、肌トラブルを防ぎたいのは大人の肌も子どもの肌も同じこと。
ただ、特に子どもの肌は顔のスキンケアには気をつけていても、全身の保湿となると毎日は行えていないという方も多いかもしれません。
入浴後や洗顔後の清潔な状態の肌をしっかりと保湿することは、肌のバリア機能を高める近道なので、毎日気をつけたいところ。
化粧水や乳液など塗り重ねるのが面倒という方は、ひと塗りで肌に必要な水分量と油分量をおぎなうことができるオールインワンアイテムを使用するのもおすすめです。顔だけでなく体にも塗り伸ばせば、短時間で全身の乾燥予防を完了させることができます。

もし症状が長引いてしまっている場合は、皮膚科を受診し内服薬や塗り薬を処方してもらいましょう。
ステロイド外用薬を処方される場合もあるかもしれませんが、ステロイド外用薬も適切に使用すれば怖い薬ではありません。使用期間をよく聞き、適量を患部に使用することで症状の改善をうながしてくれます。

乾燥性湿疹とよく似た症状の皮膚炎にアトピー性皮膚炎がありますが、アトピー性皮膚炎の治療は長期間にわたることが多くあります。
乾燥性湿疹も、アトピー性皮膚炎も、治療をスタートさせるのは早ければ早い方が良いので、かかりつけ医としてなんでも相談できる皮膚科をひとつ持っておくと安心です。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

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