乾燥肌によるかゆみを軽減するボディクリームの選び方と避けたい成分

肌が乾燥すると、肌表面がカサカサとしてきて、かゆみを生じて気になるという方も多いのではないでしょうか。
ですが、かゆいからとつい搔きむしってしまうと、肌が赤みを帯びたり、炎症を起こしてしまうなど、症状をさらに悪化させてしまう恐れがあります。
そうならないようにするためにも、まずは日頃から肌を乾燥させない予防したり、乾燥してしまった肌を改善する対策を行うことが大切です。

今回は、乾燥肌に関する基礎知識から乾燥させない肌をつくるのためのボディケアまで、乾燥予防や改善に役立つ情報をご紹介していきます。
ぜひ、これからの乾燥予防ケアの参考にしてみてくださいね。

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乾燥肌によりかゆみが起こる仕組み

乾燥肌がなぜ起こり、かゆみを引き起こしてしまうのでしょうか。
適切な乾燥対策を行えるようになるためにも、まずは、この仕組みについて理解していきましょう。

そもそも乾燥肌とは

乾燥肌とはいったいどういう肌状態のことを言うのでしょうか。

乾燥肌とは、いわゆる肌の水分や皮脂が不足している状態のことで、「ドライスキン」ともよばれます。
肌には、主に「細胞間脂質」「天然保湿因子(NMF)」「皮脂膜」という3つの保湿因子が存在します。
最初の細胞間脂質は、肌の角質層の細胞間に存在する脂質で、セラミドなどを主成分として成り立っています。このセラミドは細胞と細胞をつなぎ、肌内部の成分の蒸発を防ぐ役目を担っています。
天然保湿因子も角質層にある成分で、その約半分がアミノ酸でできており、水分を保持する働きを持っています。
そして、皮脂膜は、皮毛穴にある皮脂腺から分泌された皮脂と汗腺から分泌された汗が混じりってできる天然の肌の保護膜です。
この3つの因子がバランスよく保たれた状態であることで、外部刺激などから肌を守り、肌から水分が逃げるのを防ぐバリア機能が正常に働き、うるおいのある肌が保たれますが、乾燥によって水分が奪われるとそのバランスが崩れ、肌荒れなどの肌トラブルを引き起こすことになってしまいます。

また、特に乾燥しやすいのは、皮脂の分泌が少ない部位。
たとえば、脛(すね)やひじ、足の裏などです。露出して乾燥しやすい顔の場合、目や口まわり、頬などが特に乾燥しやすくなります。

乾燥肌のかゆみの原因

では、乾燥肌になるとなぜかゆみを生じてしまうのでしょうか。その原因についても見ていきましょう。

かゆみが引き起こされるのは、刺激物質が皮膚と接触するという要因があります。
皮膚は刺激を与えられると、細胞からヒスタミンという物質が分泌され、知覚神経に作用してかゆみを引き起こすという仕組みがあります。
乾燥肌の場合、外部刺激から肌を守るバリア機能が低下している状態なので、当然外部からの刺激を受けやすくなります。
人は普段、乾燥以外にも、紫外線やほこり、花粉、エアコンといったさまざまな外部刺激にさらされているので、バリア機能が低下した敏感肌の状態だと、わずかな刺激にも反応しやすくなり、かゆみを生じてしまうのです。

このかゆみを抑えるためには、乾燥によって不足した肌の水分を補い、弱ってしまったバリア機能を正常に働かせるようにする必要があります
そのために、まず大切にしたいのが保湿ケア。次の章からは、保湿を心掛けたボディケアについて説明していきます。

皮膚のバリア機能の仕組みについての詳細は、こちらをご覧ください。

乾燥肌によるかゆみを予防する入浴時のポイント

日頃、生活を送っている中で乾燥肌を予防するために注意したい生活シーンがいくつかあります。その1つが、入浴時。水に浸かるため、肌が潤っているのではと思ってしまいそうになりますが、実は入浴時こそ特に乾燥に気をつける必要があるんです。
入浴時は、体を洗ったり、長時間湯舟につかることで、肌の保湿成分が流れ出てしまうため、乾燥を引き起こしやすいとされています。そのため、入浴の際は、入浴方法や入浴後の保湿ケアなどにより注意をしなければいけません。
ここでは、できるだけ肌の乾燥を防ぐために、入浴時で注意したいポイントについてご紹介します。

湯船の温度はぬるま湯にする

まず、気をつけたいのが湯舟の温度です。肌のうるおいを保つために必要な成分である皮脂は、40℃を超えると溶け出す性質をもっています。
湯船に浸かる際は、温度を40℃以下のぬるめに設定するようにしましょう。

体を洗う際は刺激を与えないように意識をする

体を洗った後に、肌につっぱり感を感じることはありませんか?それは洗いすぎによる、肌の乾燥を引き起こしていることが原因かもしれません。
汚れを落とすために、ついゴシゴシと肌を洗ってしまいそうになりますが、洗いすぎはうるおい肌を保つために必要な皮脂まで奪ってしまいます。
そうならないようにするためにも、体を洗う際はまず石けんをよく泡立てるようにしましょう。泡立てることで、強くゴシゴシと洗わなくとも泡で汚れを落とすことができるので、皮膚への摩擦が軽減されます。
また、洗うのに使うボディタオルなどは、綿やシルクといった肌にやさしい、低刺激の素材を選ぶのも良いでしょう。そして洗う時は、やさしく洗い、すすぎもていねいに行うようにしましょう。

また、乾燥予防のためには、他にもお風呂上りの保湿ケアが大切です。
入浴後の肌は保湿成分が流れ出てしまっている状態な上、肌表面の水分の蒸発とともに肌の水分も奪われる「過乾燥」状態となるためです。
乾燥は時間の経過とともにどんどん進み、特に寒い時期になると、暖房などの使用によって肌はより早く乾燥しがちです。乾燥をなるべく進ませないためにも、入浴後はバスタオルを軽く肌に押し当てて水分を拭きとり、その後は早めの保湿を心掛けるようにしましょう。

ボディのケア方法としては、乾燥を未然に防ぐ乾燥予防処方のアイテムやボディクリーム、高い浸透度と肌なじみの良さが特徴のボディオイルなどのアイテムを使うのがおすすめです。両手にオイルやクリームを馴染ませて、マッサージをしながら優しく体に塗っていくようにしましょう。

乾燥肌によるかゆみを予防するボディケアのポイント

乾燥によるかゆみの原因、そして乾燥を防ぐために注意すべきポイントをご紹介しましたが、ここからは乾燥を予防するために大切なボディケアについてご紹介します。
特にケアの際に注意したいポイントを挙げていくので、ぜひこれからの日頃のボディケアの参考にしてみてください。

肌には優しく触れる

ボディケアを行う前に、まず頭に入れておきたいことですが、ボディケアは直接肌に触れてケアを行うものです。
先程、乾燥肌になると外部刺激に敏感になるということをお伝えしましたが、肌に触れる際の刺激は肌の乾燥を助長する一因になりえます。そのため、マッサージやボディクリームなどを塗る際には、塗り方に注意を払う必要があります。
ポイントは、刺激を与えないこと。入浴時と同様、肌に触れる時はできるだけ刺激を与えないように、優しく触れるようにしましょう。

ボディケア用品の成分を見直す

日々のケアに使う、ディクリームやボディローションなどのボディケア用品のチェックしてみることも大切です。
今日、テクスチャーや配合成分、香料の異なる、さまざまな種類のケア用品が販売されていますが、もしかすると使用しているケア用品の配合成分が乾燥をさらに促している可能性も考えられます。
たとえば、アルコールなどは肌を刺激してしまう懸念あるものです。バリア機能が低下している肌に使ってしまうと、それが刺激になり、症状を悪化させてしまう恐れもあります。
できるだけアルコールフリーのものに代えるなど、普段使いしているケア用品を見直してみるのも、乾燥肌予防につながる大事な行動といえるでしょう。

乾燥肌によるかゆみを予防するボディクリームを選び方

では、乾燥肌によるかゆみを予防するために、使用するボディケア用品をどのように選べばいいのでしょうか。
現在、市販されているボディケア用品にはさまざまなタイプのものがあります。できるだけ選ぶ際に迷わないように、ここからはボディケア用品の中でもボディクリームについて、選び方のポイントを具体的にご紹介していきます。

保湿成分の豊富さで選ぶ

アイテムによってさまざまな成分が配合されていますが、ポイントは保湿成分がしっかり入っているかどうかです。
保湿成分が豊富に入ったボディクリームを塗ると保湿されている時間が長くなるので、肌のうるおいをキープしやすくなります。

保湿の効果が期待できるおすすめの成分は、ヒアルロン酸やコラーゲン、セラミドなどです。
ヒアルロン酸は、皮膚や目の角膜、軟骨などに存在しており、水分を蓄え、細胞同士をつないだりする働きを持っています。
コラーゲンは、人間の体を作るのに大切なタンパク質の一種で、皮膚だけではなく、骨や血管、爪などの体のあらゆる生体組織に存在しています。こちらも細胞同士をつなぎ合わせる役割を果たしている他、肌のハリや弾力をキープする真皮の多くはこのコラーゲンが構成しており、すこやかな肌を維持するために必要な成分です。
そしてセラミドは、最初にご紹介した肌のバリア機能に必要な保湿因子の一つ「細胞間脂質」を構成する主成分です。
どれも保湿には欠かせない成分なので、ボディケア用品を選ぶ際には、まずこれらの成分が入っているかどうかが保湿に有効なアイテムであるかどうかの判断に役立ちます。

また、他に配合成分について留意したいのは、デリケートになっている肌にできるだけ刺激を与えない、低刺激性のものを選ぶようにすること。
弱酸性、無香料、無着色など、できるだけ余分なものが配合されていない、デリケートな赤ちゃんの肌にも安心して使えるようなシンプルな配合のものを選ぶのがおすすめです。

使い心地で選ぶ

日々使うものだからこそ、成分に加えて、使用感も大切なポイントでしょう。
クリーム一つにしても、乳液のようなさっぱりとした使い心地のクリームや、水分を逃さないようしっかりカバーしてくれる伸びのよいクリームなど、テクスチャーのタイプもさまざまです。

たとえば、夏などの熱い季節におすすめなのは、肌になじみやすく、ベタつかないテクスチャーのアイテムです。
乾燥予防のボディケアは、日々の積み重ねが大事です。使用にあたり、できるだけ自分がストレスを感じにくいものを選ぶように工夫することがケアの継続につながります。
また、香りなどもさまざまなものがあるので、自分の肌質や成分、さらにコスパなどにも考慮しながら自分のお気に入りのアイテムを見つけるのが良いでしょう。

乾燥肌のかゆみを緩和する効果を期待できるボディクリームの成分

乾燥肌によって生じてしまうかゆみを何とかしたい場合、どのようなボディクリームを使ったら良いのでしょうか。
選び方の参考になる、かゆみを緩和するのにおすすめの成分についてご紹介します。

尿素

かゆみを緩和する成分として挙げられるのが、尿素です。
尿素には、肌の水分を保持する働きや古くなって硬くなった角質層をやわらかくする作用があります。
そのため、尿素によって肌をしっかりうるおわせることで、かゆみの軽減を期待できます。

今日、ドラッグストアなどで、ボディクリームだけではなく、尿素入りのハンドクリームや軟膏もよく複数販売されているので、乾燥が気になる時は試してみると良いでしょう。
ただし、尿素の含有率や、肌に傷や炎症があるといったその時の肌状態によっては、肌が刺激を感じる可能性もあるので、使う際には注意するようにしましょう。

ジフェンヒドラミン塩酸塩

ジフェンヒドラミン塩酸塩は、かゆみを引き起こすヒスタミンの働きを抑える働きがあります。
鼻炎薬やかゆみ止めの薬などにも含まれているもので、こちらもかゆみの緩和が期待される成分です。
かゆみを抑える敏感肌用のボディクリームなどに配合されています。

なお、医薬品成分配合のものなどは、使用量などの制限があるので、使用の際は使用方法をしっかりチェックしてから使用するようにしましょう。

ドクターズポイント
ジフェンヒドラミン塩酸塩は、抗ヒスタミン剤のうち、第1世代と呼ばれるもの。第2世代の抗ヒスタミン剤よりも眠気が出やすいため、使用時には注意しましょう。
第2世にはケトチフェンフマル酸塩、オロパタジン塩酸塩などがあります。
その他、メディエーター遊離抑制剤と呼ばれる成分は、マスト細胞からヒスタミンなどのケミカルメディエーターが遊離するのを抑制する働きがあるため、これらが配合されているクリーム等にもかゆみを抑える働きがあります。

乾燥肌でかゆみを感じるときに避けたいボディクリームの成分

乾燥肌でかゆみを感じた時に、かゆみを助長する可能性があるため避けた方がよいボディクリームの成分も一緒に紹介しておきます。

石油系合成界面活性剤

界面活性剤は、たとえば水と油のように本来混ざり合わない物質同士を混ざりやすくさせる性質を持っています。
界面活性剤には、天然物、アミノ酸系、石鹸系、アミノ酸系、脂肪酸エステル系、石油系、高級アルコール系などさまざまな種類がありますが、特に注意したいのが石油系合成界面活性剤です。
石油系合成界面活性剤は、肌への浸透力が強いため肌トラブルの原因になりやすく、肌のバリア機能低下を招く恐れがあるとされています。乾燥してより敏感になっている肌では、特に避けた方がいい成分でしょう。

エタノール

アルコールも肌への刺激が強い成分です。
消毒用などに使われていたりしますが、アルコールは蒸発するときに一緒に肌表面の水分を奪ってしまうため、肌の乾燥を引き起こしやすいです。
バリア機能が低下している時に使うと肌は刺激を受けてしまいやすいので、かゆみを助長させてしまうだけではなく、肌荒れなどの肌トラブルにもつながってしまう可能性があります。ボディクリームを選ぶなら、アルコールフリーの表示がされたものをおすすめします。

肌の乾燥を予防するスキンケアのポイントについては、こちらで詳細をご覧いただけます。

乾燥肌 かゆみ ボディークリーム

適切なケアとアイテム選びで、日々の乾燥予防を

いかがでしたか?乾燥時期だけではなく、年中乾燥にさらされやすい状況にある肌は乾燥しやすく、かゆみを引き起こしてしまうことも多くあります。
そうならないためにも、普段からの保湿対策として、肌を乾燥させない習慣やボディケアは大切にしたいですよね。
今回ご紹介したボディケアのポイントやケア用品の選び方を参考にして、乾燥に負けないうるおい肌をキープして、かゆみなどの気になる乾燥による肌悩みを解消していきましょう。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

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