乾燥肌は角質層の水分量が低下し、肌が外部からの刺激に弱くなってしまっている状態です。ドライスキンや乾皮症と呼ばれることもあります。
乾燥が進むと肌のかさつきやかゆみの他に、全身が常にカサカサしてしまう乾皮症や赤みや湿疹が生じる皮膚炎を起こしてしまうこともあります。顔や背中など、部位によっても気をつけた方が良いことや、乾燥してしまった時の対処法が異なるため、症状に合わせた乾燥予防がとても重要です。
今回は、乾燥肌の部位ごとに異なる症状や、その予防法についてお伝えします。
【部位別】乾燥肌で起こる症状
乾燥肌に悩んでいる方の中でも、体のどの部分の乾燥に悩んでいるのかは人によって違うもの。この章では乾燥肌のお悩みが特に多い部位3箇所について、詳しくお伝えします。
顔に現れる症状
比較的スキンケアをしっかりと行なっている方が多い顔ですが、時間の経過によりスキンケアの効果が薄れている場合があります。そのため、肌が乾いているなと感じたら、毎日のスキンケアの最後にオイルやクリームなどをプラスするなど、肌から水分が蒸発しないように工夫することが大切です。乾燥の原因は季節や空気の乾燥などもありますが、過度な洗顔により肌を保護する保湿成分が失割れている場合もあります。
乾燥肌の自覚がある方はセラミドなどの保湿成分が配合された洗顔料を使うと良いでしょう。
乾燥肌について、更に詳しく解説をした記事もあるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
指先に現れる症状
手を洗う機会やアルコール消毒を使用する機会が増えたことで、いつもにも増して指先の乾燥が気になるという方も多いかもしれません。手洗いのほかにも、水を使う家事により肌を保護する保湿成分が失われることも乾燥の原因になるため注意が必要です。
背中に現れる症状
また、入浴、体の洗浄により肌を保護する保湿成分が失われると外部からの刺激を受けやすくなるため、症状が悪化する原因になります。保湿成分が配合された入浴剤を使う、体を洗う際にゴシゴシとこすらないなど、ちょっとしたことですが意識してみると良いでしょう。
特に敏感肌の方は入浴時のお湯の温度が高すぎると乾燥に拍車をかけてしまう場合もあるため、注意が必要です。体を洗う石けんも、洗浄力が強すぎると肌荒れの原因になることがあります。皮脂を落としすぎない、敏感肌用の商品を選ぶと安心ですよ。
乾燥肌によって起こる症状の主な原因
続いては、乾燥の原因についてお伝えします。1つ前の章でお話しした顔、指先、背中の乾燥の原因やケアのヒントになりそうな記事もご紹介しますので、合わせてチェックしてみてくださいね。
スキンケアが十分ではない
まず考えられるのが、スキンケア方法や使っている商品が肌に合っていないこと。洗顔後の保湿が化粧水のみ、乾燥肌なのにさっぱりタイプの商品を使用しているなど、思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
化粧水で水分を与えた後は、必ずクリームなどの油分でフタをする。乾燥が気になる時はしっとりタイプや高保湿タイプの化粧品を使うなど、保湿を意識すると良いでしょう。また、長時間保湿ができるスキンケア商品を選んでいないという場合もあります。おすすめなのは、ゲルタイプのオールインワン商品。肌に必要な水分量と油分量をひと塗りで与えてくれるほか、ゲルタイプは肌の上に留まってくれる時間がローションタイプよりも長いので、乾燥から肌を守ってくれます。
乾燥には、加齢によって皮脂や汗の分泌が低下し、皮膚が乾燥してしまう老人性乾皮症という症状もあります。自分で必要な皮脂を分泌できない状態なので、しっかりしたテクスチャーの保湿剤を使う、小まめに保湿を行うなど、肌を常にうるおった状態に保つことが大切です。
生活習慣が乱れている
乾燥肌は、肌のターンオーバーの乱れが原因の場合もあります。
睡眠を十分にとっていない、適度な運動をしていない、栄養のある食事ができていないなど生活習慣が乱れていると肌のターンオーバーも乱れ、乾燥などの肌荒れの原因になってしまいます。
食事はタンパク質などももちろんですが、ビタミンなどの肌に良いとされる栄養を十分に摂取できているかどうかも重要です。普段の食事だけで必要な量の栄養素を摂取することが難しい場合は、サプリメントに頼ることもおすすめです。
乾燥肌の部位別の対処法については、下記の記事でまとめられています。
上記の内容と合わせて読んでいただくと、より効果的に乾燥予防を行うことができますよ。ぜひチェックしてみてくださいね。
乾燥肌の症状を悪化させる行動と予防方法
乾燥肌は、肌がとてもデリケートな状態。少しの刺激が肌の症状を悪化させてしまうこともあります。ここでは日常生活で注意した方が良いこと、予防方法についてお伝えします。
乾燥肌を悪化させる日常的な行動
乾燥肌は、角質層のバリア機能が低下し、外からの刺激に弱くなってしまっている状態です。そのため、肌へダメージを与えることは避けた方が良いでしょう。
例えば、かゆいからといって肌をこすったり、熱い湯船に入ったりなど。日常生活の中で、知らず知らずのうちに肌を傷つけていることがあるかもしれません。肌へのダメージは皮膚のバリア機能の低下につながるため、乾燥の症状がどんどん悪化し肌荒れにつながってしまいます。
また、角質層の表面は皮脂膜で覆われているため、皮脂が落ちた状態の入浴後や洗顔後は肌がとても乾燥しやすい状態です。お風呂上がりはついぼんやりしてしまいがちですが、なるべく早めにスキンケアを行い、かさつきや肌のつっぱり感などの乾燥によるダメージを肌に与えないように注意しましょう。
乾燥を予防する方法
乾燥予防に一番効果的なのは、こまめな保湿です。メイクの上から使えるミストやハンドクリームなどを携帯し、外出先でもこまめに保湿をすることで乾燥の悪化を防ぐことができます。理想は一日に6回以上、何度も水分と油分を与えることですが、現実的ではない場合、朝のケアで一日中水分を与え続けてくれるような「乾燥予防処方」のアイテムがおすすめ。肌の上に長時間とどまり、乾かさずに少しずつ水分を与え続けてくれますよ。
また、紫外線も乾燥を引き起こす原因の一つなので、毎日必ず日焼け止めを使うことを意識し、紫外線によるダメージを防ぐことも効果的です。
湿度が低いと肌の水分が蒸発しやすくなるため、室内の湿度を調整することも効果的です。加湿器を使う、濡れたタオルを部屋に吊るすなどし、部屋の空気が乾燥することを防ぎましょう。
乾燥予防で全身うるおい肌に
乾燥予防について、いかがでしたか?潤いのある肌をキープするためには、自分の肌状態に合った保湿ケアを行うことが大切です。乾燥予防は、小まめな保湿や、生活習慣の見直しが重要です。全身の部位に合わせて使用するスキンケアアイテムの成分や形状なども細かくチェックし、毎日の乾燥予防で健やかな肌をキープできるように心がけましょう。
自己流の保湿ケアで肌の状態が改善されない場合は、そのまま乾燥が進んでしまう場合もあります。乾燥がひどくなり、肌表面がカサつく状態を皮脂欠乏症と呼びますが、さらに乾燥が進むとかゆみを感じ、皮膚を掻き壊してしまう皮脂欠乏性湿疹を起こしてしまうこともあるので注意が必要です。市販の外用薬にもかゆみを抑えてくれる抗ヒスタミン薬やヘパリン類似物質が配合された塗り薬がありますが、乾燥が悪化して皮膚炎を起こしている場合は、専門家による治療が一番効果的です。早い段階で皮膚科へ行き、治療法など医師の判断を仰ぎましょう。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。