乾燥して顔が痛い!肌のバリア機能低下による影響と改善方法

たとえば、肌がカサカサと乾燥してくると特に露出の多い顔や首の皮膚に痛みを感じたという経験はありませんか?
もしかすると、それは乾燥が引き起こす肌のバリア機能の低下が原因かもしれません。

バリア機能は、摩擦や紫外線、乾燥などの外部刺激から肌を守り、体内からの水分が蒸発してしまうのを防ぐといった大切な役割を果たすものです。
このバリア機能の低下してしまうと、肌が刺激を受けやすくなり、肌荒れなどの肌トラブルを起こしやすくなってしまいます

今回は、そんな顔の乾燥から肌を守るためにも知っておきたい、乾燥による顔の痛みの原因や、乾燥してしまった肌の改善策についてご紹介していきます。

顔 乾燥 痛い

顔の乾燥による痛みの原因は?

なぜ、顔の乾燥によって痛みを感じるようになるのか、その原因としては肌のバリア機能の低下が考えられます。詳細を見ていきましょう。

痛みの主な原因は肌のバリア機能の低下

冒頭でご紹介したように、バリア機能は肌を外部刺激から守り、水分を保持してうるおいのある肌をキープするのに必要とされる機能です。
このバリア機能には、「細胞間脂質」「天然保湿因子(NMF)」「皮脂膜」という、肌の保湿をサポートする重要な3つの保湿因子が存在します。この因子がバランスよく保たれた状態であることで、肌のバリア機能が正常に働き、うるおいのあるすこやかな肌が実現できるのです。
ですが、乾燥は皮膚の水分と油分の良好なバランスを崩れさせ、このバリア機能を低下させてしまいます。
肌を守る役割を担うバリア機能が低下すると、肌は外部の刺激から肌を守る皮膚の成分が不足している状態になり、外部刺激に敏感になってしまいます。そのため、ちょっとした摩擦などの刺激にも反応しやすくなり、肌にヒリヒリと痛みを感じやすくなってしまうのです。

肌のバリア機能の低下による影響

では、実際に肌のバリア機能が低下すると、痛みを感じる他に、肌はどのような影響を受けやすくなってしまうのでしょうか。

まず、バリア機能の低下によって、肌は刺激のある成分に対しても敏感に反応してしまうようになります。
そのため、顔に使用するようなスキンケア用品や洗顔料に入っている成分には要注意。配合成分によっては、弱って敏感になった肌には刺激が強すぎて、使用時に痛みを感じてしまうことがあります。
使う場合は、できるだけ肌にやさしい成分が配合された、低刺激の製品を選ぶようにすると良いでしょう。

他にも、直接顔の肌にふれる不織布マスクや化粧用コットンなども顔の肌に刺激を与えるものの一つです。
特にマスクは、コロナ禍の生活の中で普段からの着用が習慣化している昨今、バリア機能が低下している状態で着用すると、チクチク感やかゆみを感じてしまうこともあるので注意が必要です。

痛いと感じる顔の乾燥を改善する方法

では、痛みを感じるほど顔の肌が乾燥している場合、その肌の乾燥状態を改善するにはどのような対策があるのでしょうか。
ここでは、改善策をいくつかご紹介していきます。

肌の乾燥対策としてまず行いたいのが、以下の2つの対策。普段の生活の中で、すぐにでもできる対策なので、ぜひ心掛けてやってみてください。

保湿を徹底する

乾燥した肌を改善するためにまず大切なのは保湿です。皮膚に水分と油分を与えるために、しっかり保湿ケアをして乾燥を改善していきましょう。常に皮膚に水分と油分がバランスよく保たれていることで、肌のバリア機能の向上につながります。
たとえば、洗顔後には化粧水などで保湿成分を補い、その後にクリームなどでしっかりカバーをして水分が蒸発するのを防ぐなどの保湿ケアを行うのがおすすめです。

肌への刺激を避ける

肌への刺激は乾燥を助長する要因にもなってしまいます。
乾燥して外部刺激に敏感になっている肌にできるだけ刺激を与えないようにすることが、乾燥の改善につながります。

刺激を与えないようにするために、たとえば、直接肌にふれるマスクや衣服には肌に優しい素材のものを選ぶといいでしょう。
化学繊維の中でもチクチクしたり静電気の起きやすいものなどは避け、綿やシルクなどの素材を選ぶのがおすすめです。

また、日々の洗顔は優しく行うようにするようにしましょう。
顔はメイク汚れなどが気になってついしっかりとクレンジングをしたり、洗顔を行ってしまいがちですが、洗い方によっては肌に刺激や負担を与えてしまっていることがあります。洗う時にはゴシゴシと洗って強い刺激を与えないように、優しく洗顔をするようにしましょう。

また、過剰な皮脂は肌トラブルにつながってしまうことがありますが、うるおいのある肌を保つためには皮膚にある程度の油分が必要です。
洗顔後につっぱり感を感じるようであれば、洗いすぎ、もしくは使用している洗顔料を見直してみるのが良いでしょう。
たとえば石けんを使用してみたり、洗浄力が強い界面活性剤配合のアイテムは適量を使うことを心掛けましょう。保湿成分が配合された洗顔料などを使うのもおすすめです。

そして、肌の乾燥につながる要因として忘れてはいけないのが、紫外線。紫外線は、肌の外部刺激となり、乾燥を引き起こすといわれています。
外出時には必ず日焼け止めを塗る、帽子をかぶるなどのUVカットを徹底するようにしましょう。
紫外線は日々浴びやすい状態になっているだけに、心掛けるべきことを習慣化してしまうのが良いでしょう。

「紫外線が肌の刺激になる理由」についてさらに知りたい方は、下記の記事を参考にしてみてください。

痛いと感じる顔の乾燥が治まらない場合の対処法

今ご紹介した改善策はあくまでも対策の一部です。
もし対策をしても、痛みが改善されない場合は他の要因によって痛みが引き起こされているなどの可能性もあるので、注意が必要です。
その場合には、たとえば以下のような対策があります。

市販薬を使用する

皮膚にかゆみや赤み、炎症などを伴っている場合は塗り薬などの市販薬として売られている保湿剤の使用も検討してみましょう。
市販薬を選ぶ際は、症状や部位に合わせて選びましょう。
ステロイド入りの市販薬などには使用方法に注意が必要なものがありますので、説明書や薬剤師の指示に従ってください。
もし市販薬を塗っても症状が改善しない場合は、無理に使い続けずに早めに皮膚科を受診するようにしてください。

皮膚科を受診する

顔の痛みの原因が、単なる乾燥によるものではない、アトピー性皮膚炎などの病気が原因である可能性も考えられます。
悪化してしまう前に、まずは痛みの原因を明らかにし、医師による正しい治療を受けることが大切です。
乾燥対策をしてもなかなか症状が改善しない、気になる症状などがあったら、そのまま放置せず、早めに皮膚科に相談することをおすすめします。

顔 乾燥 痛い

日々の乾燥対策ですこやかな肌状態を保ちましょう」

日々気になる顔の乾燥ですが、痛みを感じる場合は肌のバリア機能が低下している証拠。
季節柄、冷暖房、紫外線…など、身のまわりには肌の乾燥を引き起こしやすい要因がたくさんあります。
特に顔は露出していることが多いパーツでもあり、乾燥にはより気をつけなければいけません。
ご紹介した乾燥対策などをこまめに行う生活習慣を身につけて肌のうるおいを保ち、乾燥に負けないすこやかな肌を目指していきたいですね。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

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