乾燥肌とオイリー肌両方の性質を持つ混合肌は、皮脂の分泌が多くベタついている部分と乾燥でカサついている部分のどちらも気になってしまいますよね。
カサつきが気になる部分はかゆみが生じてしまったり、ベタつきが気になる部分はその部分だけ化粧崩れしたり大人ニキビができてしまったりと、さまざまな肌トラブルが生じる場合もあります。
一言で「混合肌」といっても、悩みはさまざま。今回は、そんな混合肌のスキンケアについてお伝えします。
混合肌の基礎知識
混合肌とは、テカリが気になる部分と乾燥が気になる部分が入り混じった肌タイプのこと。脂性肌の方だけでなく、肌のバリア機能が低下して敏感肌に傾くことでも、混合肌になることがあるんですよ。
ここでは混合肌の特徴や、原因についてお伝えします。
混合肌とは?
混合肌とは、顔の部位によって肌質が異なる状態のこと。
Tゾーンはべたつきがありオイリーなのに、目元や口元は突っ張ったりカサカサしたり乾燥しがち…などが混合肌の特徴に上げられます。顔全体は肌の皮脂量が多く、水分量が不足しがちになっているケースが多く、皮脂量の多い部位ではニキビや吹き出物が生じる可能性もあるため適切なケアが必要です。
肌表面のテカリやかさつきは肌のバリア機能が低下することで起こることもあるので、スキンケアなど肌の外側はもちろん、内側からもケアを行うことが大切です。
混合肌の原因
混合肌の原因は、空気の乾燥や紫外線などによる外的刺激によって、肌が乾燥すること。
脂質の多い食事により皮脂が分泌されやすくなる、生理前に黄体ホルモンの分泌が増えると皮脂の量が増えやすくなるなど食事やホルモンバランスの状態が皮脂の分泌量に影響することもあります。
肌の表面が乾燥していると、肌の保護機能が働き、皮脂が過剰に分泌される場合があるため、自分ではオイリーだと思っていても、肌の奥は乾燥しているというケースもあります。これはインナードライという状態で混合肌とはまた少し違う症状なので、スキンケアにも注意が必要です。
混合肌に適したスキンケアの手順
スキンケアには、きちんとした手順があることをご存知でしょうか。ただやみくもに行っても、肌はキレイになりません。自分の肌悩みにはどうアプローチすれば良いのか、ぜひ参考にしてくださいね。
STEP1:やさしく顔を洗う
うるおい成分が多く配合されている化粧品を使っても、受け入れ先である肌が汚れた状態だと成分がうまく浸透しません。そのため、まずは“落とす”ケアが大切になります。
クレンジングや洗顔の際は、清潔な手で洗顔料をよく泡立て、顔の中心から外側へ円を描くように顔を洗うとよいでしょう。
このとき、てかりの気になる皮脂の多い部位は指の腹で丁寧に洗うと毛穴の汚れも浮きやすくなります。あとはぬるま湯で優しく泡と汚れを洗い流してください。
洗顔料の洗い残しは肌トラブルにつながるおそれがあるため注意が必要です。おでこの生え際やフェイスラインなどの洗い流しにくい部分は特に注意。すすいだ後は、タオルを当てて水分を吸収するだけに留め、ごしごしこすらないように気をつけてくださいね。
STEP2:化粧水で肌をほぐす
洗顔後は、保湿を行いましょう。肌に水分を届けることで肌はやわらかくほぐされ、保湿成分や美容成分を受け取りやすい状態になります。コットンまたは手のひらを使って優しくハンドプレスをすることにより、化粧水を肌の角層まで浸透させましょう。
STEP3:水分・油分のバランスを整える
肌に水分が行き渡ったら、油分でフタをすることも忘れずに。肌に水分と油分をバランス良く補給することが大切です。
混合肌の方の場合、皮脂量が多い部位は乳液のみ、乾燥しがちな部位は乳液とクリームでカバーするなど部位によってケアを変えると◎。
「ベタつきが気になるから…」といって化粧水のみにとどめることはNG。水分だけを与えた肌は、水分が蒸発することで肌が乾燥してしまうからです。
すると、防御機能が働き皮脂が過剰に分泌されることがあり、皮脂が過剰分泌した部分がテカテカしてしまいます。
化粧水や乳液を塗り重ねることが面倒だという方は、ひと塗りで化粧水、美容液、乳液、クリームなど多機能の役割を果たすオールインワンアイテムを取り入れると良いでしょう。スキンケアを効率的に行いやすいため、時間のない日や疲れている日でも取り入れやすくなりますよ。
スキンケア用品を何度も肌に塗布することで起こる摩擦も軽減できるので、美容の観点からもおすすめです。
混合肌向けのスキンケアアイテムを選ぶポイント
混合肌について理解が深まってきたところで、ここでは具体的なスキンケアアイテムを選ぶときのおすすめポイントをお伝えします。あなたにぴったりな商品を見つける助けになるとうれしいです。
保湿力
保湿力の高さと、うるおいをキープする力に注目して選ぶと良いでしょう。今のスキンケアが物足りないという方は、成分が足りていないのかもしれません。ヒト型セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、プロテオグリカン、アクアオイルなど、保湿成分が含まれているものを意識して選んでみてください。
皮脂のコントロール力
使用するスキンケアアイテムに、皮脂を抑制する成分であるビタミンC誘導体、米エキス、大豆エキスなどが含まれていると、皮脂のコントロールに役立ちます。ぜひパッケージに書かれている成分表をチェックする習慣をつけましょう。
ニキビができている場合は、抗炎症成分にも着目すると良いでしょう。保湿成分だけでなく、サリチル酸、グリチルリチン酸ジカリウム などが配合されているものもおすすめです。薬用化粧水や薬用アクネケアアイテムなど、有効成分が含まれた医薬部外品にもさまざまな種類があるため、検討してみてくださいね。
肌へのやさしさ
化粧品の添加物によっては、肌のアレルゲンとなり炎症が生じてしまう可能性があるため注意が必要です。防腐剤、アルコール(エタノール)、鉱物油、合成香料、石油系界面活性剤、シリコンなどはアレルゲンとなることが多いとされていますが、肌に刺激性のあるもの、自分の肌に合わないものは避けましょう。
初めて使うアイテムは、パッチテストをしてから使用を始めるとよいでしょう。特にスキンケアやシャンプー、トリートメントなどはサンプルやミニサイズのトライアル商品から試してみることをおすすめします。
パラベンフリー、アルコールフリー、無香料無着色など、配合成分の表記をチェックすることはもちろんですが、「自然由来」「オーガニック」等のあいまいな表記だけに頼らず、信頼のできる製造元・販売元であるかを確かめるのも一つの手です。
テクスチャー
テクスチャーとは、化粧品のさわり心地やつけ心地、肌にのせた時の質感や使用感のこと。使用感が良いとスキンケアを続けやすいため、成分に注目するのはもちろん、好みの付け心地のアイテムを選ぶと良いでしょう。
ベタつきが気になる箇所にはさっぱりとしたテクスチャー、カサつきが目立つ部分にはとろみがある、こっくりしたテクスチャーなど、顔の部位によって使い分けるのもおすすめです。しっとり、さっぱりといったテクスチャーと保湿力の高さは直接関係しないと考えられているため、「さっぱりした使い心地のものが好きだけど、乾燥予防のためにはしっとりにした方がいいのかな」とは考えなくても良いといえます。自分の好きな使い心地のものを選んでみてくださいね。
乾燥予防でカサつきもテカリも解消
混合肌と聞くと、乾燥よりもテカリの方を気にする方が多いですが、実際は肌の水分量と油分量のバランスがとれていないから起きてしまうもの。
皮脂だけを気にして適切なケアを行わないと、水分量と油分量のバランスはどんどん悪くなり、テカリだけでなく肌荒れも進行する恐れがあります。バランスを整えるためには顔全体をうるおった、健やかな状態にすることが大切です。自分の肌に合うスキンケアアイテムを使用して、しっとりとした美しいお肌を手に入れましょう。
スキンケアを行うときはさらっとしたローションタイプのものよりも、油分が含まれていたり、肌の上に長時間留まるゲルタイプの方が、乾燥予防にはおすすめです。また、健やかな肌状態のためにはスキンケアだけでなく、内側のケアやホルモンバランスを整えることも重要。食事や睡眠不足にも気を配り、健康的な美肌を目指しましょう。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。