肌のかゆみは乾燥性皮膚炎が原因かも?症状につながる要因と対策

「乾燥性皮膚炎」もしくは「乾燥性湿疹」は、皮脂欠乏性皮膚炎(ひしけつぼうせいしっしん)・湿疹や乾皮症の総称を指し、乾燥肌が原因です。「老人性乾皮症」などとも呼ばれています。激しいかゆみやカサカサが特徴で、症状が進行するとひび割れや炎症を起こすこともあります。

今回はそんな「乾燥性皮膚炎」について、原因や対処法をご紹介します。

乾燥性皮膚炎

乾燥性皮膚炎の状態と症状

乾燥性皮膚炎は、乾燥肌が悪化した状態です。
乾燥により刺激に敏感になった肌を引っかいたりこすったりすることで症状が進行し、治りにくくなります。

では、乾燥性皮膚炎とは具体的にどんな症状を指すのでしょうか。肌の状態と症状についてご紹介します。

乾燥性皮膚炎とは

乾燥肌が悪化すると、皮膚の表面の脂や水分が減少し、乾燥を生じる病気「乾皮症」を発症します。乾燥性皮膚炎は、この乾皮症がさらに進行し炎症を起こすことで、強いかゆみや赤み、水ぶくれなどの湿疹を併発した状態。
うるおいのある肌は、セラミドなどの天然保湿因子、角質細胞間脂質、皮脂によって肌の水分量が保たれていますが、加齢や乾燥が進むことでこれらの物質が減少すると、肌の乾燥が進みます。
この状態を肌のバリア機能が低下した状態と呼び、うるおいのある肌を取り戻すためには、毎日の乾燥対策が重要になります。

乾燥性皮膚炎の症状

乾燥性皮膚炎は、足のすねや脇腹など、皮膚の乾燥が目立つ場所に現れやすい症状です。
乾燥肌の自覚があり、かゆみやひび割れ、赤みなど肌に異常を感じたら乾燥性皮膚炎の可能性があります。
乾燥が進んで肌表面の皮脂膜が薄くなった肌は外的刺激に敏感な状態のため、乾燥予防などでうるおいを与え、肌のバリア機能を補うことが大切です。

乾燥性皮膚炎につながる要因の例

乾燥性皮膚炎は、肌の乾燥状態が原因となり起こる症状です。カ
サつきが気になる乾燥肌から乾皮症へと悪化した肌の症状が、乾燥によってさらに赤みやかゆみなどを発症しまうと注意が必要。

ここでは乾燥性皮膚炎を引き起こしてしまう原因についてご紹介します。
どうして肌の乾燥が進むのか、どういった行動が肌に悪い影響を及ぼすのか、要因を知ることで正しく予防することができますよ。

肌への摩擦

乾燥が進みバリア機能が低下した肌は、敏感肌と呼ばれるデリケートな状態。そんな繊細な肌にとってまず気をつけたいのが、摩擦です。
体を過度な力で洗う、目を強く擦るなどを繰り返すと、肌を保護しているバリア機能がより低下しやすくなってしまうため、注意が必要。
大切なのは、できるだけ肌に刺激を与えないこと。外的刺激に弱い状態の肌は、ちょっとしたことでも刺激に感じてしまいます。

顔や体を洗う時は弾力のある泡で包み込むように洗い、水分を拭き取る際も吸水性の高い柔らかいタオルで優しく拭き取るようにしましょう。
洗顔後や入浴後の肌は最も乾燥しやすいので、早めに保湿を行うことも大切です。

加齢

年齢を重ねると、皮脂の分泌量が少なくなるため中高年や高齢者は肌が乾燥しやすい状態です。
年齢を重ねると肌のハリも低下してきますが、これは加齢により肌細胞の機能が低下してしまうことが原因です。肌細胞が弱ると角層に水分を保持する力も低下するため、肌が乾燥しやすくなり肌の悩みが増えるほか、肌トラブルを引き起こしやすくなってしまいます。
失われたうるおいを補うためにも、年齢を重ねた肌は乾燥予防をしっかりと行うことが大切です。高保湿なアイテムはもちろん、年齢に合わせて、シミやシワなどのエイジングサインに効果のある化粧品を取り入れることも効果的です。

季節

冬の乾燥した空気は、肌の乾燥促し肌荒れを悪化させる可能性があるため寒い季節は乾燥性皮膚炎を起こしやすい時期です。
外気の乾燥だけでなく、室内で暖房器具を長時間使用することも乾燥を進行させる原因になります。
保湿はもちろん、加湿器などを使って室内の湿度をあげることで乾燥肌が落ち着く場合もあるため、上手に活用すると良いでしょう。

お部屋の乾燥対策について、こちらの記事で詳しくまとめています。ぜひ目を通してみてくださいね。

乾燥性皮膚炎や乾燥肌の予防に役立つセルフケア

乾燥肌や乾燥性皮膚炎を予防するためには、日頃の乾燥予防がとても大切です。
とはいえ、ただ保湿を行うだけでは十分な乾燥対策を行えていない可能性もあります。

この章では、乾燥を予防するセルフケアをご紹介します。
症状の進行を防ぐためには、毎日のちょっとしたケアが大切です。手軽に始められるものばかりなので、ぜひ試してみてはいかがでしょう。

服装

乾燥肌は、肌のバリア機能が低下し、敏感になっている状態。少しの刺激が大きな負担となるため、肌への刺激が少ない衣服を選ぶことをおすすめします。ちくちくと痛みを感じる服は避け、肌触りの良い絹・綿素材など肌に優しい生地を選ぶと良いでしょう。

好きな服が肌に刺激を感じる素材でできている場合でも、きちんと対策を行えばファッションを楽しむことができます。
例えば服を着る前にしっかりと肌を保湿し、肌が直接服に触れないよう、間に絹・綿などの肌に優しい素材でできた肌着を挟むと刺激を感じにくくなりますし、しっかり保湿を行うことで乾燥によるかゆみも抑えることができるのでオススメです。

ドクターズポイント
化学繊維よりも天然素材の繊維のほうがいい、ということではなく、肌への刺激がなるべく少ないものを選びましょう。
天然素材でも、ゴワゴワした綿やコーデュロイ、固いチクチクするウールなどは、肌摩擦や静電気により刺激が大きいため避けるべき。
着用前に乾燥予防ケアを行い、肌に擦れないように下着などを着用することをお勧めします。

生活習慣

健康な肌を作るためには、肌のターンオーバーを整えることがとても大切です。
ターンオーバーを正常化するためには、毎日の生活習慣が重要なカギになります。規則正しい生活を習慣づけることで健やかな肌を保ちやすくなるので、質の良い睡眠を取る、食事の栄養バランスを意識する、適度な運動をするなど、日々の生活を正すことから始めましょう。

また、肌への刺激を減らすことも重要です。
入浴時にはナイロンタオルやブラシでゴシゴシ体を洗ったり、マイクロファイバー(高密度繊維)などで顔を擦るような習慣はやめましょう。一時的につるつるしても、肌表面の角質に傷がついて乾燥の元になります。

意識して過ごしてみると案外肌の負担となっていた習慣が見つかるはず。
ただ、生活習慣を整えること自体がストレスになってしまう場合もあります。
そんな時は一気に生活を変えるのではなく、食事の内容や運動など、自分が意識しやすい、正しやすい部分から徐々に整えてみてくださいね。

保湿ケア

乾燥肌のケアで一番大切なことは、肌をしっかりと保湿すること。しっかり乾燥を防ぐことで、外的刺激などから肌を守ることができます。
特に入浴後は湯船に浸かったり体を洗うことで皮脂が流れるため皮膚の水分が蒸発しやすい状態。
毎日のシャワーやお風呂上がりには、顔はもちろん、全身を保湿する習慣をつけましょう。
保湿ローションやクリームなどのアイテムを顔や体に塗ることもオススメですが、様々なアイテムを塗り重ねるのが面倒という方は化粧水、乳液、美容液の機能を1本で補うことができるオールインワンアイテムがおすすめです。

また、保湿アイテムだけでなく汚れを洗い流すクレンジングや洗顔料、ボディソープなどの洗浄料をきちんと選ぶことも乾燥予防に大切なポイントです。
洗浄力が強すぎるものは必要なうるおいまで洗い流してしまい、乾燥を促進させてしまうため注意が必要。
顔を洗った後につっぱり感はないか、洗い上がりの肌にキシキシした感覚はないかなどを確かめ、自分の肌タイプに合った商品を選ぶように気をつけましょう。

顔や体の保湿については、こちらの記事でも解説しています。ぜひ目を通してみてくださいね。

乾燥性皮膚炎

乾燥対策で健やかな肌を手にいれる

乾燥性皮膚炎は、乾燥肌が悪化した状態。そのため、症状を改善させるためにも毎日の乾燥対策をしっかりと行い、うるおいのある健康的な肌を目指すことがケアのポイントです。
乾燥している肌は、少しの刺激が大きな負担となります。紫外線も肌に負担をかける要因の一つなので、乾燥対策だけでなく紫外線対策を行うことも大切。毎日のスキンケアのルーティーンに日焼け止めを塗ることを組み込むと塗り忘れることがなくなるのでおすすめです。
スキンケアをしっかりと行っても症状が改善されない場合は、皮膚科を受診しましょう。気になる症状について医師に質問することで不安な気持ちがなくなるほか、きちんと薬を処方してもらうことで改善も早くなります。

敏感な状態の肌でも、きちんとしたケアや治療を続けることで、健康的で健やかな肌を目指すことができます。まずは乾燥予防をしっかりと行い、うるおいが持続する美しい肌作りを行いましょう。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

タイトルとURLをコピーしました