年齢や季節が変わっても、若い頃と同じ、いつもと同じお手入れのまま…そんな「思い込みケア」で大丈夫ですか?
加齢や環境の変化によって肌の調子は変化します。鏡に映った自分の顔に疲れが感じられる、カサつきやゴワつきが気になる、化粧ノリが悪くなる等、そのまま無関心でいたら、深刻な肌トラブルにつながってしまうかも。
きちんと肌に向き合い、年齢や肌質に合わせた基本のスキンケアをおさらいしてみましょう。
肌ケアの基礎知識
ツヤとハリのある美肌、それはだれしもが生まれたときには持っているものです。まずは肌本来の美しさをすこやかに保ち続けるためにはどうしたらいいのか、基本的な情報をおさえておきましょう。
肌ケアの大切さ
人体の中で、日常的に外部環境にさらされている部位…それは顔です。
つまり顔の肌は常にダメージを受ける環境にさらされているということ。外気による乾燥、紫外線、摩擦、雑菌、花粉など、外的刺激は数えられないほどあります。
肌がダメージを受け続けると、シミ、シワ、肌荒れ、ニキビなどの肌トラブル発生の原因となっていきます。ダメージから肌を守るため、肌ケアを続けることで、刺激から肌を守り、すこやかな状態に導くことができるのです。
肌が本来持っている力をキープし、素肌の美しさを保つためにも、毎日の習慣として肌ケアを続けることが大切です。
肌ケアの基本
肌を清潔に保つ
人の肌の上には常に様々な菌が常在菌として存在します。健康な肌状態とは、常在菌の中でも悪影響のある菌の働きを、別の菌の働きが抑制し、うまくバランスを保っている状態でもあります。
手や肌を清潔に保つことによって、これらの常在菌のバランスを崩さないよう維持することが大切。不潔にして雑菌が繁殖し、悪玉菌が増えすぎるのはもちろんNGですが、必要以上に体を洗ったり消毒しすぎたりするのも、善玉菌たちが住みにくい環境になってしまって逆効果に。
常在菌のバランスが崩れると皮膚の水分を保つバリア機能が低下し、乾燥や肌荒れの原因となりかねません。普段から正しい洗顔方法を心掛け、適度に清潔でうるおった状態の肌を維持するようにしましょう。
肌を十分に保湿する
肌トラブルの多くは乾燥がきっかけとなって生じることが多いとされています。そのため、洗顔後のスキンケアは保湿に重点を置いて念入りに行い、肌のバリア機能を健やかに保つことがとても大切。
もっとも外気にさらされる顔は、化粧水、美容液、乳液、クリームと基礎化粧品を順番に重ねてケアするのが一般的。保湿成分が豊富に配合されたアイテムを選びましょう。
パンパンと頬をパッティングするような摩擦の強いケアはNGです。
コットンにローションをたっぷりと浸し、ゆっくりと肌に浸透させるイメージでうるおいを浸み込ませていきます。
せっかく浸透させたうるおいが逃げないよう、化粧水のみのケアは避け、油分を含んだクリームなどで肌にしっかりフタをしてあげることがポイントです。
さらにオールインワンアイテムなら、複数のアイテムを使用しなくても一本で簡単にお手入れができます。時短なうえに肌摩擦の負担も少なくなり一石二鳥です。
紫外線から肌を守る
美肌の天敵、紫外線によるダメージは多岐にわたります。
紫外線のUVBは肌の表皮で日焼けやシミ、そばかすなどの原因になり、UVAは肌の奥、真皮まで到達して、肌にうるおいを貯め、ハリを保つ成分に損傷を与えてしまうのです。紫外線によって肌が乾燥したり、肌の弾力が失われてシワ、たるみの原因にもつながるなど、エイジングサインの悪化にも影響があります。
そのため紫外線対策は年中怠らないことが大切です。帽子やサングラス、上着の着用を心掛け、スキンケアの時点で日焼け止めを塗布するなど、紫外線から肌を守ることを習慣にしましょう。
生活習慣の改善
規則正しい生活習慣が崩れると、ホルモンバランスが乱れ、肌のターンオーバーにも影響します。身体の新陳代謝が鈍り、肌トラブルの原因となることも。
ホルモンバランスの乱れの主な原因は、睡眠不足や偏った食生活、また過度の飲酒、喫煙、ストレスなど。また、40代以降は新陳代謝も衰えるので、適度な運動も効果的です。
栄養バランスの取れた食事や、良質な睡眠、運動不足などに気を配りながら身近な日常生活の習慣を見直すことで、肌トラブルの軽減が期待できるといえます。
肌の毛穴ケア【種類別】
基本的なスキンケア知識をおさえたら、次は肌悩みの筆頭、毛穴のお手入れについてみていきます。頭を悩ます毛穴トラブルにもさまざまな種類があります。
開き毛穴
過剰な皮脂分泌などにより毛穴の入り口が開いてしまうと、ぽつぽつと目立ったりメイクが入り込んで毛穴に落ちた状態になったりと、悩みの種ですよね。皮脂の過剰分泌は脂性肌の人に多く見られますが、ほかにも無理に角栓を押し出す、強引に角栓を引き抜く毛穴パックなど誤った毛穴ケアが原因となるケースもあります。
過剰に分泌された皮脂はきちんと洗顔によって取り除き、その後しっかりとうるおいを補って水分と油分のバランスを整えましょう。
洗顔直後は開いた毛穴をキュッと引き締める収れん化粧水を使用するのもおすすめです。ただし刺激が強いものやアルコールが入っているものは逆に乾燥を招く恐れがあるので、きちんとパッチテストしてから使いましょう。
詰まり毛穴
毛穴に皮脂やメイク汚れ、古い角質などが詰まって角栓となり、ぷつぷつとした見た目やざらつきが気になる方も多いのではないでしょうか。
角栓は油分でやわらかくしながら取り除くのがもっとも肌に負担をかけない方法です。肌に優しいオイル成分を配合したメイク落としなどで、くるくると優しくなでながらマッサージすると効果的。
また、たんぱく質を分解する働きを持つ酵素洗顔料も、角栓や古い角質をさっぱりと洗い流してくれます。ただし肌に負担をかけないよう、キメ細かな泡をたっぷりと泡立ててこすらないように洗顔するのがコツ。角栓を取り除いた後は、開いた毛穴を引き締めるケアも忘れずに。
黒ずみ
さらに毛穴に詰まった角栓が酸化してしまうと、ポツポツと黒ずんで目立ってしまうことがあります。特に小鼻まわりは皮脂の分泌量が多く、「いちご鼻」に悩んでいる人も少なくありません。
洗顔料やクレンジングアイテムできちんと洗浄することはもちろん、抗酸化作用のある美容液を使用すると、角栓の酸化防止につながり黒ずみを防ぐことができます。
たるみ毛穴
40代以降に見られるのがたるみ毛穴。
頬の表情筋が衰えたり、加齢や紫外線のダメージで肌のハリが失われたりして、毛穴が下に引っ張られて目立っている状態です。頬が重力により引っ張られ、毛穴が涙型に見えます。頬を持ち上げると目立たなくなるため、何よりもハリを取り戻すことが先決。セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲン、プロテオグリカンなどが含まれた保湿ケアで、肌内部の弾力を取り戻しましょう。
適切なケアで肌をすこやかに保つポイント
肌は本来、自力で美しさを保てるパワーを持っているもの。適切なケアによって本来の肌の力を底上げしてあげましょう。
自分の肌を知る
自分の肌が乾燥肌なのか、脂性肌、または混合肌かなど、きちんと把握していますか?
ニキビができているからといって脂性肌とは限らないように、一人ひとり異なった肌質を持っているため、スキンケアの仕方も百人百様です。自分の肌の特徴を知ることで、水分と油分を自分仕様の最適なバランスで補給するケアができます。
例えば乾燥肌の場合は、うるおいを肌にしっかり留めるような保湿成分やジェルタイプのテクスチャーがおすすめ。また脂性肌の場合は、水分をしっかりと角層まで浸透させる成分が配合されたものを…など、それぞれの肌質の弱点をサポートするために様々なアイテムから選ぶ必要があります。
デパートの化粧品売り場やオンラインのスキンチェックなど、お肌の状態を調べてくれるサービスもありますので、上手に利用しましょう。
洗顔をしすぎない
角栓やザラつきが気になるからといって、何度も洗顔やクレンジングをすると、肌のバリア機能が低下してしまうおそれがあります。
洗顔はぬるま湯でこすらず洗い、洗顔後は必ず基礎化粧品でたっぷり保湿するようにしましょう。
また、スクラブなどを使った過剰な角質ケアや、肌に必要な皮脂まで取り除いてしまうような、肌への負担が大きいケアはNG。肌の汚れを優しくオフし、肌のバリア機能を衰えさせないような洗顔を心掛けましょう。
汗を拭き取る
意外と盲点なのが汗や肌表面のべたつき。暑さによって出る汗や、運動などでかいた汗を放置しておくと、肌表面に雑菌が増えてしまう恐れがあり、肌を清潔に保つことができません。
汗をかいたら、ハンカチをそっと当てるようにして水分を吸い取りましょう。夏場は濡らした手ぬぐいを固く絞って、優しく拭くと気持ち良く、肌への負担になりません。ゴシゴシとこする摩擦は肌トラブルの原因になるため、強く拭き取らないように注意。
肌ケアの第一歩は乾燥予防から
乾燥が気になっている時点で、肌のバリア機能は衰えているといえます。その状態で紫外線や外気に当たるなどの外部刺激を受けてしまうと、ダメージを受けて肌悩みは深刻に……。肌は気になる前から乾燥を予防するくらいがちょうどいいのです。あらかじめ保湿を心掛けることで、肌のバリア機能が正常に働き、肌トラブルを回避することができます。
肌のバリア機能向上につながるような、うるおい成分豊富な下地を使用したり、保湿クリームを持ち歩き、目元や口元などの乾燥しやすい部位に塗布したりするなど、毎日のこまめな保湿ケアの積み重ねが乾燥の予防になります。また週に一度のシートマスクなどのスペシャルケアや、室内の加湿を怠らないなど、乾燥が生じにくい環境づくりも大切です。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。