糖化は肌にどのような影響があるの?仕組みや老け見えを防ぐ方法

加齢とともに気になる、しわ、たるみ、シミ。そうした肌悩みの原因には、紫外線や乾燥、生活習慣などさまざまなものが考えられますが、その一つに「糖化」があるのを知っていますか
糖化とは、食事などで体内に摂取した糖が、タンパク質と結合して細胞にダメージを与えて老化を促進させてしまう現象で、「体のコゲ」とも呼ばれています。まさに美容の大敵です。
肌トラブルを予防・改善するためには、日々のスキンケアだけではなく、この糖化を予防する糖化ケアが重要になります。

今回は、糖化が起きてしまう原因から糖化によって引き起こされる肌トラブル、さらには糖化を防ぐための対策まで、糖化が肌に与える影響について詳しくご紹介していきます。
これから糖化ケアをはじめたい方はもちろん、今ケアを実践している方もぜひチェックして、今後のケアに役立ててみてくださいね。

糖化 肌

糖化の仕組み

まずは、糖化がどのように起こるのか、その仕組みについて紹介していきます。

糖化とは

冒頭でもご紹介したように、糖化は、食事から摂った余分な糖が体内のタンパク質などと結びつくことで細胞を劣化させる現象です。
ただし、「糖」とつくために「糖質」「糖類」「糖分」をすべて混同して悪いものと勘違いしている方も多いので、まずは言葉の違いをきちんと知りましょう。
「糖質」「糖類」「糖分」はそれぞれ違うものです。

1.糖質

糖質は主にエネルギー源となる栄養素で、炭水化物の一つ。
炭水化物は、たんぱく質、脂質と合わせて「エネルギー産生栄養素」や、「三大栄養素」と呼ばれており、人間の日々の活動を支えています。
糖質は体内でブドウ糖に分解されます。
糖質ゼロ、と表示されている場合、糖質に分類されない天然甘味料(ステビア、甘草※グリチルリチン)や人工甘味料(アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース)と呼ばれるものが使われていることが多いでしょう。

2.糖類

糖類は糖質のうち、単糖類・二糖類に分けられるものを指します。
砂糖(ショ糖)や果糖、ブドウ糖などがあり、消化にかかる時間が短く、早く吸収されやすいため食後の血糖値を急上昇させる特徴があります。
糖類ゼロと書かれている場合、糖類には分類されないオリゴ糖やキシリトールなどを使用していることがあります。

3.糖分

糖分という言葉に厳密な定義はありませんが、広い意味で甘いものを指します。
糖分を控える、といった場合はケーキやクッキーといった甘いお菓子のほか、フルーツに含まれている果糖にも注意が必要です。

食物が分解されて血液中に入った糖と、体内のタンパク質が結びつくと、AGEs(Advanced Glycation End products:糖化最終生成物)という物質がつくられます。
このAGEsは体内に蓄積すると、糖尿病・心血管病・がん・更年期障害など多くの病気の原因につながるといわれています
また、肌においてはしわ、たるみ、くすみの原因になり、このAGEsの数値が高いほど、見た目として老けた印象を与えやすくなってしまいます。

糖化する主な原因

糖化してしまう原因とされているのは、体内の余分な糖です。

糖質は人の生命維持に必要な栄養素の一つですが、必要以上に摂取した場合、または消費しきれなかった場合は、体内で分解された際に余った糖がエネルギーになりきれず、タンパク質と結合することでAGEsができてしまうのです。
特に糖化を引き起こす代表的な糖は「ブドウ糖」と「果糖」と言われています。
また、「果糖」も吸収スピードが非常に速いため、食べ過ぎに注意が必要です。生命維持のために適当な糖質の摂取は必要ですが、過剰な摂取はこのように身体にさまざまな影響を与えてしまうので、注意が必要です。

糖化のしくみ

糖化により起こる肌トラブル

では、糖化が起こるとどのような肌トラブルにつながってしまうのでしょうか。
糖化によって引き起こされやすい肌トラブルを具体的に見ていきましょう。

たるみ・しわ

皮膚は、「表皮」、「真皮」、「皮下組織」の3層に大別されています。
その中の真皮では、タンパク質の一種であるコラーゲン繊維とエラスチン繊維が網目のように張りめぐらされ、肌の弾力やハリを生み出しています
このコラーゲン繊維とエラスチン繊維が糖化すると細胞が変性・劣化し、もともと持っていた伸縮性を阻害してしまい、肌のハリが失われる原因になりやすくなってしまいます。その結果、肌にはたるみやしわが出やすくなってしまうのです。
加齢によって肌が硬くなっていく傾向がありますが、実はこの糖化に原因があったのです。

しみ・くすみ

通常であれば、メラニン色素は新陳代謝によって古い角質細胞と一緒に角質層に排出されますが、AGEsが溜まると肌の新陳代謝がうまくいかず、表皮にメラニン色素が沈着してしみになってしまいます
また、糖化によって生じる老廃物が皮膚の細胞に溜まると、くすみの原因になりやすいとされています。

糖化による肌の老け見えの予防方法

糖化は肌にも影響するだけに、見た目にも老けた印象を与えてしまいます。
糖化による肌の老け見えの予防策として、どのような方法があるのでしょうか。

糖質の過剰な摂取を避ける

まずは、糖化の元となる糖分の過剰な摂取を避けることが重要です。
たとえば、お菓子やジュースなどの糖類(砂糖、果糖、ブドウ糖)が多い食品は、できるだけ控える習慣をつけるようにしましょう。
一方、糖質は、脂質、タンパク質とともに3大栄養素の一つとされる炭水化物の一部で、体の細胞の活動に必要なエネルギーとなるものなので、過剰に減らすことはお勧めしません
ただしエネルギーとして消費されなかった糖質は脂肪となるため、必要以上の量を摂取してしまうことや、運動不足には気をつけましょう。
糖化を引き起こすだけではなく、食後の血糖値が急激に上昇し、インスリンが過剰に分泌されて太りやすくなってしまう危険があります。
脂肪が増えると、生活習慣病のリスクも高まってしまうため注意が必要です。

また、過剰な糖分摂取につながりやすい、ストレスによる過食にも要注意。
日ごろから軽い運動を行ない、十分な睡眠を取って、日々ストレスを溜めないように心掛けた生活を送ることが大切です。

高温調理された料理を避ける

糖化を防ぐにあたり、糖質の摂取量を減らすだけではなく、血糖値を急上昇させてしまうのを防ぐため、食材の調理法にも気をつける必要があります。
食材を高温調理すると、食材のAGEsの含有量が増加するといわれています。焼く、炒める、揚げるといった調理は食材に含まれるAGEsの量を増やしやすく、茹でる、蒸すといった調理方法は高温調理に比べてAGEsの量は少なくなります。
そのまま生で食べられる食材は生で食べ、もし調理が必要なら、茹でたり煮たりといった調理法で食べるのがおすすめです。

肌の乾燥を防ぐ

老け見えの原因となるしわやしみ、たるみを改善・予防するためには、糖化による肌への影響を予防するとともに、肌の乾燥を防ぐことも大切です。
肌が乾燥すると、皮膚を守り、水分を保つ働きを持つバリア機能が低下し、しわができてしまったり、ハリのない肌状態を引き起こしてしまったり、さまざまな肌トラブルにつながります。
保湿は、うるおいのある肌をキープし、若々さを維持する手法の1つとして効果的です。

また、一時的な保湿だけではなく、肌の乾燥を防ぐためには、正しいスキンケアで肌にうるおいを与えることが大切です。
ポイントは長時間、肌に水分を与え続け乾かさない、乾燥予防ケアをすること。
スキンケアをする際は、ケアアイテムとしてヒアルロン酸やセラミドなど保湿成分が配合された乳液や美容液を使うのがおすすめです。

また、保湿を徹底するなら、スキンケアだけではなく、洗顔についてもやり方に注意しなければいけません。過度な洗顔は必要な皮脂や水分を奪ってしまうので、洗顔料はしっかりと泡立てて摩擦ができるだけ起きないように泡を転がすように伸ばし、ぬるま湯でやさしく洗い流すようにしましょう。

そのほか、季節の乾燥や冷暖房による乾燥、さらに紫外線や生活習慣の乱れやストレスなども肌を乾燥させる一要因となります。
スキンケアによる保湿はもちろん、規則正しい生活習慣を送り、肌に負担をかけないように過ごすことも乾燥を防ぐ大事な心掛けです。

糖化 肌

日々の糖化予防で老け見えさせない、すこやかな肌をキープしていきましょう」

老け見えを生じさせてしまう、体内の老化現象「糖化」。
糖化につながる糖質の摂取や、糖化予防・改善のための保湿ケアには十分注意をするよう心掛けるようにしましょう。

また、今回ご紹介した対策以外にも、食生活やストレスも肌状態に影響を与えます。たとえば、発酵食品は概ね高い抗糖化効果が認められるとされています。「発酵イソフラボン」は有名な抗糖化成分の一つ。発酵食品を毎日積極的に摂取することが大切です。
さらに、肌にダメージを与えるとされる活性酸素を抑制する働きを持つ、ビタミンCを多く含む食べ物を食事に取り入れることで、肌のアンチエイジングにもつながります
生活習慣を今一度見直し、今回ご紹介した糖化の予防対策をぜひ実践してみてください。
老け見えさせない、透明感のある健康的な美肌を一緒に目指していきましょう。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

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