肌のくすみとは、本来の肌の明るさよりも顔全体が暗く見えている状態。
朝は気にならなかったのに夕方になって鏡を見ると顔色が暗く疲れて見えるという方は、くすみが原因かもしれません。
今回はなぜ肌がくすむのか、原因と原因別のケア方法をご紹介します。
肌にくすみが生じる主な原因
肌がくすんでしまう原因は、人によって違います。自分の肌がくすむ原因を知ると、適切なケアを行うことができるため、透明感のあるつややかな肌に近づくことができます。ここではくすみが生じる主な原因についてご説明します。
乾燥
くすみの原因の一つに、乾燥があげられます。肌の乾燥や加齢による皮脂量の低下などにより、肌のキメが乱れることで、くすみが生じてしまうのです。
乾燥によるくすみの特徴は、透明感やツヤが少なく見えること。乾燥により肌の表面が滑らかではなく凸凹しているため、光が乱反射してくすんで見えることが多くあります。
メラニン
紫外線を浴びたり、外的刺激により摩擦が生じたりすることでメラニンが分泌されることも、くすみの原因になります。
メラニンの分泌量が多く、ターンオーバーで適切に排出されないと、色素が沈着してくすみが残ってしまうためです。
メラニンが原因でくすんでいる方は、色ムラや、肌に黒みがかった褐色のシミ、くすみが生じて見えることが特徴です。
角質肥厚
肌のターンオーバーの周期が遅れることで古い角質が肌表面に残ると、くすみが生まれる原因になります。
古い角質細胞が残ってキメが乱れた状態だと、肌表面で光が乱反射するせいで顔色が灰色がかって見えるのです。ターンオーバーの乱れは乾燥のほか、寝不足による成長ホルモンの低下などでも引き起こされます。
美しい肌のためには、スキンケアはもちろん生活習慣の見直しも大切と言えるでしょう。
糖化
皮膚内にあるエスセラチンやコラーゲンといったタンパク質と糖が結合すると、褐色のAGEs(終末糖化産物)が産生されるといわれています。これを「糖化」と呼び、いわゆる「黄ぐすみ」の原因だけでなく、シワやたるみが生じる要因の一つとしても考えられています。
糖化によってくすんだ肌は、茶色がかった黄色いくすみが生じることが多くあるとみられ、注意が必要です。
血行不良
疲労、睡眠不足、加齢などを原因に血行不良となることも、肌がくすむ原因となることがあります。
肌の色は、血中の酸素濃度によって鮮やかさが変わる「ヘモグロビン」という赤い色素に影響を受けています。そのため、血行不良で血液が滞ると血液中の酸素濃度が低くなり、ヘモグロビンが鮮やかさを欠くため、くすみの原因となるのです。
血行不良によってくすんだ肌は、青黒いくすみが生じることが特徴です。
くすみを抑え、クリアな肌に導くには【原因別対策】
ここまでで自分の肌がくすんでいる原因が見つかった方も多いのではないでしょうか。
次は、くすみ肌から脱するにはどうすれば良いか、原因別にご紹介します。自分の肌がくすんでいる原因としっかり向き合って、適切なケアを行ってくださいね。
乾燥型のくすみ対策
乾燥によるくすみでお悩みの方は、十分な保湿ケアを通じて肌にうるおいを与え、乾燥を予防することが大切です。
ポイントは、毎日の地道な保湿ケア。特に長時間角層に水分を与え続け、肌を乾かさない乾燥予防処方のアイテムがおすすめです。
そのほか、化粧水などの基礎化粧品やオイル、美容液、オールインワンアイテムを活用し、長くうるおいをキープできる肌作りを目指しましょう。
化粧水や乳液、オールインワンゲルなどのケアアイテムを購入するときは、成分表示をよく確かめることが大切。ヒト型セラミドや密着型ヒアルロン酸、スーパーコラーゲンなど、肌にハリをもたらす保湿成分が多く配合されているアイテムをたっぷり使うといいでしょう。
時間があるときは就寝前だけでなく、メイクの前にシートマスクを使用することもオススメです。
また、毎日のクレンジングや洗顔で、汚れだけでなく必要な油分まで取り去ってしまっている可能性もあります。保湿をしっかり行ってもいまいち効果が見られないという方は、落とすケアも見直すと良いでしょう。
メラニン型のくすみ対策
メラニンによるくすみ肌には、紫外線対策を徹底することが良いでしょう。紫外線対策を毎日行うことを習慣づけることが大切です。日焼け止めを塗ることはもちろん、メイクアイテムもUVカット機能のあるものを使用すると、日焼け止めの塗り残しをカバーすることができるのでオススメ。
紫外線から肌を守ることを徹底する他に、ビタミンC誘導体、トラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカリウムなどの美白有効成分が配合されたスキンケアアイテムを使用することも効果的です。いつものスキンケアにホワイトニング効果に特化した美容液やクリームをプラスすることも検討すると良いでしょう。
角質肥厚型のくすみ対策
角質が厚くなるせいでくすみが生じている方は、まずは基本の保湿ケアで肌を柔らかくすることが大切です。角質の新陳代謝がうまくいっていないと肌がごわつき、硬くなっている場合も多いため、そのままの状態で角質を剥がすケアを行うと肌が傷ついてしまう可能性があります。保湿ケアアイテムで肌をほぐし、やわらかくした後、ピーリング、酵素洗顔などで不要な角質を取り除くというステップを踏むことが大切です。
肌のターンオーバーを正常にするためには、乾燥予防もかなり重要です。保湿ケアを通じて、肌のターンオーバーの周期を整えることも試してみてください。
糖化型のくすみ対策
糖化の原因は、血液中に余分な糖分があることといわれています。食べ物や飲み物により血糖値が急に上がったり、血糖値が高い状態が続くと、体の中で糖化という現象が起きます。
そのため、血糖値を急激に上昇させにくい食事を心がけると対策になるそう。カモミール、ドクダミなど、抗糖化作用のある成分を取ることも良いといわれるので、普段の食生活に取り入れて習慣化する等試してみてください。
血行不良型のくすみ対策
結構不良を良くするためには、血行を促進する活動を生活に取り入れることが良いでしょう。
マッサージや入浴、適度な運動のほか、早寝早起きをしてホルモンバランスを整える…など、自分が無理なく続けられるものを見つけると、ストレスなく継続できるのでオススメです。
肌のくすみをカバーするメイクのコツ
くすみを根本から改善するためには、食生活を改めたり適度な運動を日常的に継続したりと少し時間がかかりますよね。くすみ肌改善のために日々頑張りつつも「明日の顔色をどうにかしたい」と思う方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、ここではくすみ肌を改善するメイクをご紹介します。
肌のツヤ、明るさを引き出すベースメイクアイテムを使う
くすみ肌の特徴は、肌がトーンダウンして見えるため顔色がどんより暗いことと、ツヤがないこと。毎日の乾燥予防でうるおいのある肌感を作ることはもちろん、メイクでもこの2点をカバーすることができると、健康的で明るい印象を与えることができますよ。
くすみのない明るい顔色を目指すには、自然に見えるトーンアップ効果のある化粧品を使用したり、パールや光を反射するパウダーが含まれたアイテムなどを取り入れて、光の力でくすみを飛ばすと◎。ファンデーションを塗る前にこれらのアイテムを使用すると自然とワントーン明るい肌へ導くことができるため、夕方の暗いくすみ顔ともさよならできますよ。
顔色か暗いと老けた印象を与えてしまうため、毎日のケアを継続しつつベースメイクも工夫しましょう。
コントロールカラーを使いこなす
ツヤ感のある肌も美しいですが、くすみ肌で困るのは元々あるクマやシミが、くすむことで、より色濃く浮き出てしまうこと。そんな方は、くすみの色に応じて、コントロールカラーを使い分けてカバーすることがオススメです。
シミやそばかすなどをカバーしたいときはイエロー、オレンジ、黄色っぽいくすみにはパープル、血色感を足したいときはピンクなど、お悩みによって合うカラーが違うので、じぶんの肌悩みに合わせて色を選んでくださいね。
ポイントは、あまりつけすぎないこと。つけすぎるとコントロールカラーの色が前に出てしまい、違和感を感じる肌色になってしまうので、適量を肌に馴染ませてください。
乾燥予防でくすみを撃退
くすみの原因は、乾燥やメラニンなどさまざま。特に乾燥は、肌が乾燥してバリア機能が低くなることで別の皮膚トラブルを引き起こす原因にもなるため、注意が必要です。
くすみの予防にはマッサージや毎日のスキンケアといったセルフケア、食生活に気を使ったり、就寝時間を早めたりといった、毎日の習慣を見直すことも効果的です。ハリ感のある明るい肌に見せてくれる化粧下地を使用するなどメイクで工夫することも良いでしょう。
もしなかなか良い効果が感じられない場合は、思い切ってエステなどでプロの手を借りることも改善方法の一つ。リラックスできてストレス解消にもなるので、無理のない範囲で取り入れてみるのも良いでしょう。
角質ケアなどのお手入れ方法を見直す、糖質の高い食べ物を抑えるなど、くすみへのアプローチ方法はさまざまあります。自分に合う長続きする方法を見つけて、肌本来の明るさを取り戻しましょう。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。