乾燥による顔の皮むけ対策|カサカサ肌のバリア機能を改善するには?

普段しっかりとお手入れをしているはずなのに、メイク時やふと顔に触れたとき、ポロポロと顔の皮がむけてしまった経験はありませんか?
ポロポロむける皮や肌表面に白っぽく浮く粉の正体は、なんとはがれ落ちた表皮の角質。
今回の記事では、乾燥した状態だとなぜ顔の皮がむけてしまうのか、さらには適切な対処法と予防法はあるのかなど、詳しく解説していきます。
皮むけ症状の改善のためのおすすめのケア法なども紹介していくので、ぜひ参考にしてメイクのりの良いつるつる肌を目指してみてください。

乾燥 皮むけ

顔の乾燥で皮むけが起こる理由

顔の肌がカサついているとどうして皮がむけてしまうのでしょうか。その原因は季節的な乾燥だけではないかもしれません。

乾燥による皮むけのメカニズム

肌が乾燥すると、肌が本来持っているバリア機能が低下してしまうのをご存じですか?

バリア機能とは肌が自らを乾燥や外部刺激から守るために持っている機能で、

  1. NMF(天然保湿因子)と呼ばれる天然の保湿剤
  2. 細胞間脂質
  3. 皮脂膜

による三段構えでできています。

細胞間脂質とは、角層内にある角質細胞の間を埋めるうるおい成分のことで、水分を蓄える働きがあり、おもにセラミド、脂肪酸、コレステロールなどでできています。
皮脂膜は皮脂や汗などによってできるもので皮膚膜と呼ばれる場合もあります。肌表面からの水分の蒸散を防いで肌のうるおいを保つ働きがあります。

肌が乾燥状態になり、角層内のうるおいが少なくなってしまうと細胞間脂質が水分を蓄えられず、バリア機能は十分に効果を発揮できません。
すると肌内部の水分がどんどん蒸発してしまい、肌の表面では乾燥した角層内の細胞がめくれて、剝がれてしまいます。これが皮むけです。
全身であれば粉吹き肌、頭皮の場合はフケとも呼ばれます。

また、加齢などによりターンオーバーが乱れたり、角質肥厚(かくしつひこう)などが起きたりすると、細胞の生まれ変わりが滞ってしまいます。
この場合、古い角質が肌表面に溜まって厚くなり、角質層の水分がどんどん奪われてしまうため、内部から乾燥して皮がむけたり、ひどい時にはひび割れを起こしたりする肌トラブルになりかねません。

健康な皮膚と乾燥した皮膚の比較

肌の乾燥が進む原因

保湿不足

日々のスキンケアが不十分で、肌のバリア機能が低下していると、肌表面の水分はどんどん失われていきます。
内部の水分がどんどん蒸発し、乾燥が進んで肌の状態は悪化する一方に。普段のスキンケアによってうるおいを補給しなければ、肌のバリア機能が乾燥し続ける悪循環を招いてしまうのです。

特に保湿におけるNGポイントはこちら。

1.洗顔後に化粧水しか付けていない
化粧水はあくまでも水分補給。バリア機能が衰えた肌では、そのままにしておくとうるおいが蒸発し、せっかくの補給も意味がなくなってしまいます。
化粧水の後には必ず、後に解説する「油分のフタ」をセットで使いましょう。

2.長時間乾燥を予防できていない
朝の洗顔後、スキンケアをしてからの肌は、様々な乾燥の原因となる外的刺激に出会います。
外出時の外気、紫外線や花粉、ほこり、また建物内のエアコンによる乾燥など、夜のスキンケア後とは比べ物にならないほど。
これらの外的刺激や乾燥にさらされた肌を夜まで放っておくのは厳禁です!

スキンケア商品は長時間肌を乾かさず、乾燥予防できるアイテムを選びましょう。
保湿作用のあるヘパリン類似物質など薬用有効成分が入ったアイテムなどもおすすめです。

また、朝ケアしたら夜までずっと肌を潤し、乾く隙の無い肌が理想です。
もし日中に乾燥が気になるときは、目元、口元など乾燥しやすい箇所を中心に、こまめに保湿する習慣をつけましょう。

過度な洗顔、ピーリング

どうしても肌のカサつき、ゴワつきが気になって、ゴシゴシとしっかり洗顔したり、時にはスクラブ(角質を削る)やピーリング効果のある成分(角質を溶かす)の入った石けんを使ったケアをしたり……そんな心当たりはありませんか?

洗顔時の過剰なケアは肌への負担となり、裏目に出ることもあるので要注意です。
しっかり汚れが取れるパワフルな洗顔料は、その強さゆえに必要な皮脂や角質まで取り去ってしまい、肌のバリア機能がより一層ボロボロになってしまいかねません。
洗顔後に肌につっぱり感を感じるような洗いすぎなどの過剰なケアはNGです。

紫外線

太陽から降り注ぐ紫外線が与える肌へのダメージは、日焼けだけだと思っていませんか?
紫外線に含まれるUVA波は肌の奥の真皮まで到達し、肌に潤いを貯めハリを保つ成分に損傷を与えてしまいます。ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチンなどの成分が減少し、肌内部に潤いを貯めることができなくなります。
また、乾燥だけでなくシワ、たるみの原因にもつながり、老け顔の原因にも。
真夏の日中だけでなく、春先や朝夕の紫外線にも油断は禁物です。

室内の乾燥

エアコンや暖房を使用する部屋では、空気中の湿度が下がることによって、人間の身体の水分はより乾燥しやすくなります。
皮膚や粘膜などの水分が蒸発しやすくなり、喉も渇きやすくなってしまうのです。もちろん肌の水分も空気中に奪われ、乾燥が加速してしまいます。
乾燥を進行させないために、エアコンや暖房を使用する際は必ず湿度にも気を配りましょう。

肌のうるおいを保つためには、積極的に部屋の湿度を保つことを心がけ、60~65%ほどを目安に設定するのがおすすめです。メーカーによってはのどや肌のための加湿モードなどが備わった加湿器もあります。

加湿方法については以下の記事で詳しく解説しています。

乾燥による顔の皮むけの基本的な対策

様々な要因で引き起こされる乾燥によって、顔の皮がポロポロ……。そんな時、どのようにお手入れしたらいいのでしょうか?

丁寧なクレンジング、洗顔

クレンジング剤や洗顔料はとにかく肌に優しい成分を使用したアイテムで、摩擦を与えないように気をつけましょう。
洗い方や成分によって肌に刺激を与えてしまうと、肌がダメージを受け、さらにバリア機能が低下しやすくなってしまいます。
クレンジング剤は少なすぎないよう適量取り、優しく肌になじませます。
洗顔料はしっかりと泡立て、その弾力で汚れを浮かせましょう。
洗顔時間は2分程度にとどめ、ぬるま湯で洗い流すと肌のバリア機能を損ねません。

朝晩の保湿ケア

乾燥対策は毎日のスキンケアで十分にうるおいをチャージすることが重要です。
化粧水、ローション、美容液、乳液、クリームなど様々な種類のアイテムがありますが、肌内部にも存在するセラミドが配合されたアイテムを使用すると良いでしょう。
なかでもヒト型セラミド配合のアイテムを選ぶと、肌の角層まで浸透し、肌のバリア機能の一部である細胞間脂質を健やかな状態に保ってくれます。
また、ワセリンなどをベースに作られたバームのほか、オイルの使用もおすすめ。皮膚の水分の蒸発を防ぐのに効果を発揮してくれます。
オールインワンで使える多機能なアイテムなら、肌に摩擦ストレスをかけることなく手軽にお手入れできますよ。

クリームでうるおいを補給

化粧水で肌にたっぷりと水分を補給したら、つぎは乳液やクリームで肌に油分を与え、水分を逃がさないように肌にフタをしましょう。
皮むけが生じているときは、特に角層が乾燥している状態のため、油分が豊富なクリームを選ぶと肌のバリア機能を保ちやすくなります。

日中も、乾燥が気になる箇所へこまめにクリームを塗布し、外的刺激から肌を守りましょう。目元・口元用など、部分ケアに適したアイテムもあります。

スペシャルケアでバリア機能の向上

日常的なスキンケアのほかに、週末や特別な日に取り入れたいのがスペシャルケア。
肌が本来持っている生まれ変わりの力を促進し、乱れたターンオーバーの改善や、バリア機能の向上などが期待できます。
週末や時間のある時には、シートマスクや洗い流すパックなどで定期的に肌にうるおいを与えるのがおすすめ。
シートマスクは肌をうるおいで浸しながら美容成分を補給できるので、肌の奥、角層までしっかりと浸透させることができます。
また、洗い流すパックを使用すると、毛穴汚れの除去も期待でき肌のトーンアップなどに効果的。

そのほか、化粧水の前にホットタオルをあてて血行促進をはかったり、水分量をアップする、導入美容液(ブースター)を使って浸透力を上げたりするなど、さまざまな集中ケアがあります。時間があるときにゆったりお手入れをして、乾燥による皮むけを阻止しましょう。

顔の皮むけをケアする際の注意点

乾燥してバリア機能が衰えた肌はとっても敏感な状態に。スキンケアや日常生活において気を付けるべきポイントを確認しましょう。

刺激となる成分が配合されたアイテムは避ける

アルコール(エタノール)、パラベン、香料、鉱物油などが配合されたアイテムは肌に刺激となるおそれがあるので避けましょう。
天然由来の成分が多数配合された肌に優しいアイテムで、摩擦をできるだけ避けた丁寧なケアをすることが大切です。
洗浄力の強いピーリング剤、スクラブ等も使用を避けたほうがよいでしょう。

成分表をチェックして刺激の強い成分が入っていないか確認するのはもちろん、心配な場合は腕の内側などでパッチテストをして自分の肌に合うアイテムを選ぶようにしましょう。

生活習慣の乱れにも注意する

肌は身体の一部であり、体内で分泌されるホルモンの影響を受けています。
生活習慣が乱れると、ホルモン分泌が不安定になり、肌のターンオーバーが乱れてしまいます。
すると古い角質が肌表面に留まり、乾燥を招いて皮むけを引き起こす原因に。

栄養素のバランスが取れた食事をする、質の高い睡眠を取る、適度な運動をする、ストレスをため込まないなど、身近なところから生活習慣を見直していきましょう。

乾燥による皮むけが起こった際のQ&A

もしも乾燥による皮むけが起きてしまった時に、さらに気になる質問について回答します。

Q. スキンケアや生活習慣を改善しても皮むけが改善されないときはどうすればいい?

A. 皮膚科を受診するようにしましょう。
これまでに紹介してきたケア法を試しても、症状が改善されない。
そんな場合は、ケア用品が肌に合わない、もしくは他の原因によって症状が引き起こされている可能性があるので、皮膚科を受診するようにしましょう。

皮膚科医の診断を受けた後、症状に合わせた治療薬などで改善を図ることになりますが、炎症を起こしている場合はステロイド含有の塗り薬が処方されることが多いです。

Q. 乾燥による皮むけの原因となり得る主な病気は?

A.アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)などの病気が挙げられます。早めに皮膚科専門医を受診するようにしましょう。
症状が一向に改善されない時は、単なる乾燥で引き起こされた症状ではなく、皮膚への刺激を伴う病気などが背景にある可能性があります。
考えられる病気として、たとえば以下のような病気が挙げられます。
気になる症状や当てはまる可能性がある場合は、早めに皮膚科専門医を受診するようにしましょう。

アトピー性皮膚炎

バリア機能が弱い、アレルギーを起こしやすい体質の人にみられることも多い疾患です。
おもな症状としては、全身の皮膚に赤みやかゆみを伴う湿疹(皮膚炎)などがあり、良くなったり悪くなったりの状態を繰り返すという特徴があります。
治療法には、バリア機能を整える保湿やスキンケア、ステロイドなどの薬で炎症を抑える薬物療法といったものがあり、症状に合わせて正しい治療を行うことが症状の改善につながります。

乾癬(かんせん)

おもな症状は、炎症を伴った慢性的に生じる皮膚や関節における特徴的な発疹などで、大きさ、数、形の異なる赤く盛り上がった発疹(紅斑)が全身に出ます。
遺伝的素因に不規則な生活やストレス、食事、感染症などの環境因子が加わることで発症すると考えられており、塗り薬などの外用療法や飲み薬による内服療法の他、光線療法と生物学的製剤による治療の4種類の治療法があります。
様々な種類があり、治療が難しいことが多いので、疑わしい場合は必ず専門医の指導の下に治療してください。

肌の皮むけが起きる前に早めの乾燥予防を

顔は外気にさらされやすく、乾燥しやすい部位だからこそ、皮むけが起きやすいとも言えます。
逆に言えば、乾燥サインの出やすい顔の水分を保ち続けられるような保湿が、しっかりとできていれば、皮むけも起きず乾燥から始まる肌トラブルも食い止めることができるということ。

保湿を重視したスキンケアのお手入れ方法や環境、生活習慣などに潜む乾燥の原因を見直し、自分の肌状態をチェックしながら徹底的な乾燥予防を行いましょう。
しっかりと肌にうるおいを与え、もともと肌が持っているバリア機能を健やかな状態に保ってあげることで、あらかじめ乾燥しにくい肌状態を保つことができますよ。
今回ご紹介した対策をぜひ参考にして、乾燥に負けない、うるおい肌を目指していきましょう。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

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