乾燥肌は、肌のバリア機能が低下して水分と油分のバランスが崩れている状態です。
肌の状態には生活習慣も大きく関わってくるため、健康的でうるおいのある美しい肌を作るためには、スキンケアはもちろん、毎日の食事もとても大切。
今回は、食べ物に焦点を当てて、乾燥や肌荒れのない肌作りに必要な栄養素や、とると良い食品をご紹介します。
肌のうるおいが不足しがち…乾燥肌の人が摂取したい栄養素
肌が乾燥している方が気をつけたいのは、肌のバリア機能を高めること。その肌を構成する栄養素が不足することで、肌の新陳代謝がうまくいかなかったり、うるおいを保ちにくい肌になってしまうことがあります。ここではどんなことに気をつけて食事をとると良いかをご紹介します。
皮膚の細胞をつくる栄養素
タンパク質は、皮膚の細胞をつくる原料となるため美肌作りにはかかせません。
タンパク質を多く含む食材は、卵、肉、魚、大豆、牛乳、ヨーグルトなどがあります。
ターンオーバーの周期を整えやすい栄養素
ビタミンB2・B6・E・12、亜鉛には、ターンオーバーの周期を整える働きがあると言われています。
ビタミンB2は納豆、モロヘイヤなど、ビタミンB6はニンニク、マグロ、鶏むね肉など、ビタミンEはホウレンソウ、パプリカなど、亜鉛は蟹や牡蠣などに多く含まれています。食べ物だけで補うことが難しい場合は、サプリメントを取り入れるのもおすすめです。
肌のうるおいを保ちやすくする栄養素
ビタミンAは、肌のうるおいを保ちやすくする働きが期待できるとされています。
ビタミンAはニンジンや、小松菜、ホウレンソウ、レバーなどに含まれますので、乾燥が気になる冬場は積極的に取り入れると安心です。
水分が肌の表面から蒸発するのを防ぐために、皮脂の原料となる必須脂肪酸も適度にとる必要があります。ニキビなどを気にして極端に油分を避けた食生活を送っていると、肌はカサカサになってしまいます。そのため、適度に油分を摂取することも大切です。
必須脂肪酸は植物性油に多く含まれているので、摂取する量に注意しながら取り入れてみてくださいね。
肌にハリをもたらしやすい栄養素
ハリのある肌を目指したい方には、大豆製品がおすすめです。
大豆、納豆、豆腐、豆乳などの大豆製品に含まれるイソフラボンが、女性ホルモンのエストロゲンと同様の肌に弾力をもたらす働きがあると考えられているためです。
他には、コラーゲンの生成をサポートする働きがあると考えられているビタミンCをとることも意識すると良いでしょう。
ビタミンCは、ケール、小松菜、ブロッコリー、キウイ、イチゴなどに含まれています。
乾燥肌の人が上手に栄養素を取るポイント
続いては、必要な栄養素を上手に摂取する方法についてご紹介します。皮膚を作るために必要な栄養素をなるべく食事で体に取り入れるために効果的な方法を2つシェアしますので、参考にしてみてくださいね。
タンパク質をバランス良く食べる
例えばタンパク質を摂りたいからといって、お肉ばかりを食べるのは栄養が偏ってしまうのでおすすめできません。一つの食べ物に偏らないよう、肉、魚、大豆などローテーションさせて食べると良いでしょう。この時、動物性、植物性タンパク質などのバランスも考慮すると栄養バランスも整いやすくなるので意識してみてください。
多くの品目を少量ずつ食べる
キレイな肌を作るためには、ビタミンB群や脂質などたくさんの栄養素をとる必要があります。
多彩なメニューを少しずつ摂取することでビタミン類、タンパク質、イソフラボン、ミネラルなどの栄養素をバランス良く摂取しやすくなるため、食事の際はなるべくたくさんの品目を食べるように心がけましょう。多品目を少量ずつ食べることで、胃への負担も抑えることができますよ。
乾燥肌の人が食生活で意識したい注意点
肌に必要な栄養素を補うためには、ビタミンやタンパク質のバランスを考えたり、栄養素を多く取れるレシピを考えたりと工夫が必要です。食事は毎日のことなので、もっと気軽に考えたいと感じることもあるかもしれません。ここでは、美しい肌のために最低限注意しておくと良いことをご紹介します。どれもすぐに改善できることなので、ぜひ試してみてくださいね。
3食バランス良く食べる
食事は1日に3食欠かさずに食べることを習慣づけましょう。
3食バランスよく食べることで、体温を高めたり、代謝を高めたりする作用が期待できます。特に朝食を抜くと基礎代謝が低下する原因となるため、注意すると良いでしょう。食欲がない場合は、水分補給も兼ねて栄養素が豊富な緑黄色野菜を使用した野菜ジュースやスムージーなどドリンクだけでも飲むようにしてみてください。
冷たい食べ物を取りすぎない
体を温めることで、血行の促進につながる可能性があるため、美しい肌には冷えは大敵。冷たい食べ物は、摂取することで体を冷やしてしまうおそれがあります。
野菜は生野菜のサラダに加えて温野菜、スープで摂取するなど、体を冷やさないようにするにはどうしたら良いかを考えて調理法を選ぶと良いでしょう。
水分補給を行う際も、なるべく常温や温かいものを飲むように心がけましょう。ローズヒップティーや甘茶などの温かいお茶は手軽に取り入れられるうえ、美容にも効果的なのでおすすめです。
糖質制限はほどほどにする
糖質の摂取を制限しすぎることにより、体の不調や病気の原因になる場合があるので、注意が必要です。
白米ではなくミネラル、ビタミンB類の豊富な発芽玄米にするなど、同じ糖質摂取でも肌に良い選択肢があるので、糖質オフにこだわり過ぎないことが大切。ほどよく糖質を摂取ことで体内に水分を蓄えやすくなるため、肌のうるおいを保ちやすくする効果があります。
ファーストフードを控える
ファーストフード(ファストフード)は脂質と炭水化物に偏り過ぎていることが多く、ビタミンやミネラルが少ないために栄養源としては適切ではありません。栄養素が偏ったり不足することで、肌のターンオーバーの乱れにつながるおそれがあるため、頻繁に摂取するのは控えると良いでしょう。
食事で乾燥予防
食事は、内側からできる肌ケアです。
皮膚は様々な栄養からできているため、その栄養素が足りなくなるといくら外側のケアを頑張っても肌にかゆみが生じたり、乾燥肌や敏感肌、肌荒れに繋がってしまうのです。自分の肌に必要な栄養素はなんなのかをしっかりと調べて、毎日の食事に取り入れましょう。
そしてもちろん、外側から与えるケアもとても大切。化粧水でしっかりとうるおいを与えたら、乳液やクリーム、美容液で肌の表面にフタをすること。毎日のスキンケアに紫外線対策を取り入れて、肌を外的刺激から守ることなど、食事と合わせて基本の美容ケアをしっかりと行いましょう。肌ケアの手順が多いとストレスに感じるというかたは、ひと塗りで肌に水分と油分をバランスよく与えることのできるオールインワンアイテムを使用することもおすすめです。
食事でもスキンケアでも、自分に合う方法を知っておくことで毎日の習慣に取り入れやすくなります。できるところから改善を進め、美しい肌を手に入れましょう。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。