蕁麻疹の原因と対策|乾燥肌の人が知っておきたい注意点

蕁麻疹(じんましん)とは発赤(ほっせき)を伴う膨疹(ぼうしん)を指します。
乾燥と蕁麻疹は一見、関係がないように感じますが、乾燥によってバリア機能の低下した肌は外部からの刺激に弱くなるため、肌荒れ、肌トラブル以外にも一部の蕁麻疹や湿疹が発症しやすい状態といえます。
今回は蕁麻疹が起こる原因を、乾燥肌の方向けにご案内します。ぜひ、参考にしてくださいね。

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蕁麻疹の基礎知識と乾燥肌との関係

ここでは、蕁麻疹について詳しく掘り下げていきます。蕁麻疹とはどういった症状なのか、乾燥肌とはどういう関わりがあるのかなど、ぜひ参考にしてくださいね。

蕁麻疹の症状と原因

蕁麻疹は、特定の刺激を原因に、肌に大小さまざまなふくらみが現れる症状です。患部は赤みがあり、強いかゆみを伴うことが特徴で、局所的に発症することも、全身にできることもあります。
原因は食べ物、細菌、ウイルス、圧迫、日光(紫外線)、暑さ、寒さなどの気候による刺激のほか、ストレスによっても起こると考えられています。
蕁麻疹にもさまざまな種類があり、急性蕁麻疹、慢性蕁麻疹、アレルギー性蕁麻疹など、種類によって対処法もかわります。蕁麻疹が疑われたら、皮膚科を受診し、症状や原因について確認すると良いでしょう。原因によってはパッチテストなどの検査を行うこともあります。

ドクターズポイント
医学的には、物理的蕁麻疹(機械性、圧、寒冷、温熱、コリン性、日光、水性など)、接触蕁麻疹、その他、食事性、薬剤性、病巣感染性(細菌、ウイルス)、心因性などの名称が使われることがあります。

蕁麻疹と乾燥肌の関係

肌が乾燥すると、皮膚のバリア機能が衰えてしまいます。そうすると刺激物が肌に付着・侵入しやすくなり、皮膚内の神経がかゆみ物質を分泌するなどの反応を起こすのです。アルコールや、圧迫などにより、蕁麻疹が発生するケースがあります。
乾燥によるバリア機能の低下は、蕁麻疹のほかニキビや吹き出物、アトピーなどを引き起こす原因にもなるため注意が必要です
日ごろから肌を保湿し、乾燥させないことが予防策の一つ。乾燥が原因で肌がヒリヒリと敏感な状態になると、肌トラブルを招く可能性が高くなるので注意しましょう。
部位によってはアトピー性皮膚炎の症状と似ているように見えることがありますが、違いがはっきりしています。通常の蕁麻疹の病態は、一時的な真皮上層部の浮腫のため、症状は数時間たつともとの皮膚に戻りますが、アトピーは肌の表面が粉をふいたりカサついている状態のまま数時間では症状は治まりません。

蕁麻疹を快方に向かわせるための治療法

続いては、蕁麻疹の療法についてご紹介します。症状を快方に向かわせるためにはどうすれば良いか、ぜひ参考にしてみてくださいね。

蕁麻疹が発症した場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。
問診では、食べた物や触れた物などを確認するほか、血液検査などを行い、原因、蕁麻疹の種類を調べます。(原因が特定しきれないケースもあります。)
治療法としては、原因または悪化因子の除去と、抗ヒスタミン薬(かゆみ止め)の処方が第一選択になります。日常生活では原因と考えられる食べ物や刺激を避けるように心がけると良いでしょう。

蕁麻疹を悪化させないために日常生活で意識したいこと

ここでは日常生活で気をつけていただきたいことについてご紹介します。大きく3つのカテゴリーに分けてご説明するので、取り入れやすいものから試してみてくださいね。

食事の改善

蕁麻疹を引き起こすアレルゲンの原因がわかっている場合は、摂取しないようメニューを見直すことを心がけてください。栄養バランスの取れた食事を規則正しい時間に食べることで、蕁麻疹の発症を予防することができるでしょう。

入浴は控え、やさしく洗う

蕁麻疹が発生しているときは、熱い湯に浸かるのは避けることをおすすめします。湯船でしっかりと温まると、血行が促進されるため血管が拡張し、余計にかゆみを増す可能性があるためです。蕁麻疹を悪化させる場合があります。
ホットシャワー等と呼ばれる熱い湯をかける入浴法がありますが、これは一時的にかゆみが軽減したように感じるだけで、後にかゆみが増強してしまうので避けてください。アトピー性皮膚炎も同様ですが、熱い風呂に我慢して入ったり、熱いシャワーを浴びて、ゴシゴシ洗ったりすることは肌への負担が大きく、蕁麻疹が悪化してしまう原因となります。
お風呂で体を洗う際は、刺激を与えないよう注意しましょう。石けんをよく泡立ててやさしく洗うことを意識してください。
冬場なども温度を高く設定しすぎないこと、入浴後はしっかりと保湿をし乾かさないことも大切なポイントです。

肌のバリア機能を保つ

毎日朝晩の保湿ケアを続けて、肌のバリア機能を整えることも、蕁麻疹から肌を守るために大切な要素の一つです。とくに乾燥肌の人は、毎日の乾燥予防が重要。セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸など、保湿成分が豊富に配合された、長時間乾きにくいアイテムを使うと良いでしょう。
肌のバリア機能を整えるためには、肌の水分量と油分量のバランスを正常にして、うるおいをキープすることが大切です。肌のうるおいをキープするためには、スキンケアを行う際に水分と油分を塗り重ねることが必要です。もしその化粧水やクリームを塗り重ねるという工程が面倒という方は、全身に使えるオールインワンアイテムも販売されているので使用してみると良いでしょう。

蕁麻疹にも乾燥予防

かゆみを伴う湿疹には皮脂欠乏性湿疹や脂漏性皮膚炎などがありますが、蕁麻疹も乾燥によって症状が悪化する場合がある症状の一つ。長いあいだ症状が収まらない場合は、病院、専門の医療機関に行くことを心がけましょう。
まず医師の判断をあおぎ、内服薬や外用薬を処方してもらい、ただしく使用して症状を抑えることが肝心です。
その上で、肌の乾燥予防を心掛けるようにしましょう。角質層から水分が失われ、カサカサした乾燥状態の肌は刺激に弱く、蕁麻疹を悪化させやすい状態です。季節を問わず、しっかりとした乾燥予防を行い、うるおいのある健やかな美肌をキープしましょう。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

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