鮫肌の原因と適切なケア|ザラつき、ぶつぶつが気になる人へ

肌のざらつきが気になったり、皮膚がブツブツとした状態が長く続いている方は、鮫肌の可能性があります。
これらの症状は毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)や魚鱗癬(ぎょりんせん)という皮膚疾患によるものもありますが、乾燥対策によって改善される場合も多くあります。今回は鮫肌とはどんな状態か、どんなケアを行うと良いかについてご紹介します。

鮫肌ケア

鮫肌ってどんな状態?

まず「鮫肌」という名称ですが、これは医学用語ではなく俗語です。
背中や腕の毛穴の流れに沿って発疹するブツブツとした湿疹や肌のザラつきを指す言葉で、皮膚の表面が固くなることが特徴
ここではそんな鮫肌とはどんな状態なのかにつていて、詳しくお伝えします。

鮫肌の特徴

鮫肌は、肌にザラつきがあったり、ぶつぶつがある状態。皮膚が鮫の皮のような状態になっているため、鮫肌と呼ばれています。肩、二の腕、お尻、太ももに生じやすく、思春期の頃に症状が現れやすいと考えられています。
一般的には粟粒(あわつぶ)ほどの大きさの発疹が多数発生している状態が多く、症状がひどい場合は毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)や魚鱗癬(ぎょりんせん)という皮膚疾患の可能性があります。
皮膚疾患が原因ではない鮫肌は、肌のターンオーバーがうまくいっていないことや皮脂分泌の不足が原因であることが考えられます。

鮫肌になる原因

先ほどもお話したように、鮫肌の症状は皮膚疾患と皮膚のターンオーバーの乱れによって生じることが多いと考えられています。
通常、健康的な肌は一定の周期で古い角質が肌表面に押し出され、垢となってはがれ落ちますが、ターンオーバーが乱れると、未熟な角質が肌表面に押し出されたり、古い角質が定着したりすることで肌のきめが乱れ、ザラつきが生じてしまうのです。

ターンオーバーの乱れは乾燥を引き起こす原因にもなるため、定期的にやさしく角質ケアを行うことも効果的です。
角質ケアのあとは、水分保持力の高い尿素やヘパリン類似物質が含まれている保湿剤を使用すると良いでしょう。

ターンオーバーの乱れの原因はさまざまありますが、ホルモンバランスの変化や保湿不足、生活習慣の乱れ、ストレスなどが関係していると考えられています。

鮫肌のしくみ

鮫肌をケアする方法

続いては、鮫肌の対処法についてお話します。
今回は生活に取り入れていただきやすい5つのことを深堀りしていきます。
どれも少し意識するだけで習慣化できることばかりなので、無理のない範囲で取り入れてみてくださいね。

毎日の洗顔で肌を清潔に保つ

スキンケアを効果的に行うためにも、汚れを落とすケアが大切です。
洗顔の際は、保湿成分が配合された洗顔料で洗うと良いでしょう。
顔を洗う時のポイントは、よく泡立てて、包み込むように肌へ当ててやさしく滑らせること。手早く洗顔を済ませたら、ぬるま湯でやさしく洗い流しましょう。
流し忘れがあるとそれが肌荒れの原因につながることもあるため、洗い流す際はフェイスラインやおでこの生え際などに気を配りましょう。

顔をふく時は、摩擦に注意してください。
ゴシゴシとふいてしまうと、角質層がはがれ、赤みやかゆみ、痛みの原因になってしまいます。タオルで優しく押さえるように水分をぬぐうと良いでしょう。

たっぷりと保湿し、乾燥を防ぐ

洗顔で汚れを落としたら、セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなどの保湿成分が豊富に配合されたスキンケアアイテムで保湿ケアを行いましょう
この時大切なのは、水分と油分をバランス良く肌に届け、肌をやわらかくすること。化粧水で水分を与えたら、クリームや乳液、オイルなどの油分でフタをして肌から水分が蒸発しないように注意しましょう。

面倒な方や時間がない方は、程よいバランスで肌に栄養を補給しやすいオールインワンアイテムを使うことがおすすめです。ひと塗りで化粧水、美容液、乳液、クリームの役割を果たしてくれますよ。

食事を改善する

食生活も、肌に影響を与えます。そのため、毎日意識的に肌に良い成分が含まれた食材をメニューに取り入れると良いでしょう。
皮膚のうるおいを保ちやすく、天然保湿因子(NMF)の産生を促す働きがあると考えられているビタミンAが豊富な大豆製品、ホウレンソウ、パプリカ、皮膚の代謝に必要な成分で、粘膜を維持し肌トラブルを軽減する役割があるビタミンB6が多く含まれているイワシ、マグロ、鶏むね肉、ニンニクなどを意識的に食べると、乾燥や炎症のない正常な肌を作るために必要な栄養素を摂取できるのでおすすめです。

ほかにも旬の野菜や魚、果物も栄養素が高いので、毎日の食卓に取り入れると◎。
ただし、くれぐれも偏りのない、バランスの良い食事を意識しましょう。

ストレスを解消する

ストレスの解消方法は、人によって様々です。体を動かすことだけがストレスの解消法ではありません。
趣味や好きなことなどの自分が没頭できること、気分が晴れることがストレスの解消に繋がります。
季節に関係なく長く楽しめることが見つかると、なお良いでしょう。
夏場はこれ、冬場はこれというように、季節に合わせてやることを変えるのもおすすめです。

どうしても趣味や好きなことが見つからないという方は、読書や映画鑑賞、スポーツなどいろいろと試してみてはいかがでしょうか。
もちろん絶対にストレス解消法を持っていないといけないということはありませんので、無理のない範囲で探してみると良いでしょう。

規則正しい生活を送る

規則正しい生活と言われると早寝早起きができないといけないように感じる方もいるかもしれませんが、それだけが基準ではありません。
もちろんお肌の再生を考えると夜から深夜時のゴールデンタイムに就寝できることが良いですが、世の中の人全員がその時間に就寝できる生活リズムではないことも事実です。
「毎日、日をまたいでから寝てしまう」ということに罪悪感を持ち、ストレスを感じると、一層肌に悪い影響を与えてしまうことも。
お肌のゴールデンタイムに眠れていなくても、7時間以上の睡眠時間が確保できていること、毎日だいたい同じくらいの時間に寝起きができていることを心がけ、自分なりの規則正しい生活を送れるように意識しましょう。

朝日を浴びられる時間に起きて、質の良い睡眠のために一日を過ごせると尚良いでしょう。

鮫肌をケアするときの注意点

ケア方法について、いかがでしたか?一口に「ケアする」といっても、方法が間違ってしまうと効果を発揮できない場合もあります。
どんなことに注意すればいいのか、乾燥予防の観点から気をつけていただきたいことを2点あげました。
効果的にケアを行うためにも、ぜひ参考にしてみてくださいね。

洗いすぎに注意する

肌を清潔に保つことは大切ですが、洗顔をしすぎると肌の皮脂を取り除きすぎてしまうおそれがあるため注意が必要です
鮫肌が気になる場合は朝晩2回の洗顔にとどめ、洗浄力の強いピーリング剤やスクラブの使用も避けたほうが良いでしょう。
乾燥肌用や敏感肌用の優しい洗い心地のものを使用すると、乾燥予防になるほか肌への負担も減るのでおすすめです。

ぬるめのお湯に入浴する

熱いお湯は、肌の乾燥を招く可能性があります。洗顔の際に使うお湯の温度はもちろん、入浴時やシャワーなど体に触れるお湯の温度にも気をつけましょう。
また、皮脂を取りすぎてしまうケースがあるため、お湯に浸かる際は10分低合を目安にし長風呂も避けたほうが良いでしょう。
とろみのあるものや保湿成分が配合されているものなど、乾燥予防が期待できる入浴剤を使用することもおすすめです。

乾燥予防で鮫肌をケア

鮫肌の原因の1つであるターンオーバーの乱れは、乾燥肌の原因となる場合もあります。
肌が乾燥するとバリア機能が低下し、少しの刺激で肌荒れを引き起こす状態になってしまうため注意が必要です。

鮫肌の症状が出る皮膚疾患は、毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)や魚鱗癬(ぎょりんせん)のほかにも、毛孔性角化症やイボの可能性もあります。
乾燥予防やセルフケア、市販薬を使用しても症状が改善されない場合や悪化してしまった場合は皮膚疾患による鮫肌の可能性が高いため、早めに皮膚科を受診し、塗り薬などで治療を行ってください。
症状が長引くと黒ずみや色素沈着の原因になる可能性もあるため、美容の観点からも早めにクリニックや病院へ行き、自分の症状に合う治療法をみつけてください。

乾燥予防や治療をしっかりと行い、うるおいの続く美肌を目指しましょう。

【監修医師】久保田 潤一郎
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医

杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。

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