おでこや頬、あごなどにぽつぽつとできてしまうニキビ。女性にとってニキビ肌はとても憂うつですが、ニキビが悪化したのち、ニキビ跡が残ってしまうとさらにショックですよね。ニキビ跡の赤みや凸凹したような肌荒れは、コンシーラーやファンデーションで必死に隠しても、誤ったニキビ跡のケアを続ける限りはどんどんと増えて悪化する可能性もあります。
ここではニキビ跡を残さないために、ニキビとニキビ跡ができる原因を知り、正しいケアを行うための方法を詳しく見ていきます。
ニキビ跡ができる原因【種類別】
ニキビ跡は、当然のことながら、ニキビができたことによって生じる肌トラブル。ではそもそものニキビができてしまう原因と、その跡が残る理由は何でしょうか。
ニキビができる原因
ニキビには、皮脂量の多い10代にできる「思春期ニキビ」と呼ばれるものや、20代以降に多い「大人ニキビ」「吹き出物」と呼ばれるものなどがありますが、いずれも原因は同じです。アクネ菌や黄色ブドウ球菌などを含む常在菌が、皮脂をエサとして増殖し、毛穴内で炎症が起きてしまう状態を指します。
過剰な皮脂分泌によって起こるため、思春期の急激な成長ホルモンの変化や、寝不足、不摂生などの生活習慣、便秘、ストレスなどによるホルモンバランスの崩れが影響します。
また、肌のうるおい不足によってターンオーバーが乱れ、皮脂詰まりが起こることも原因の一つ。古い角質が毛穴に詰まり、常在菌が増殖してニキビの発生につながるのです。
ニキビには段階があり、一般的に、皮脂が詰まって角栓となった初期段階を白ニキビ、その皮脂詰まりが酸化したものを黒ニキビ、炎症が起きてしまったものを赤ニキビ、黄ニキビと分類します。
ニキビ対策をしっかり行い炎症を抑えられれば跡を残さずに完治が可能とされていますが、症状が改善されずに進行してしまうと、ニキビ跡になってしまうケースが多々あります。また、ニキビ跡の種類によって、その原因は異なっているため注意しましょう。
ニキビ跡の種類と原因
ニキビ跡には大きく分けて3種類あります。
赤み跡
皮脂が溜まった毛穴の中で、アクネ菌が増殖し、炎症が生じて赤みとなったもの。炎症によって毛穴周辺に毛細血管が集中し、ニキビ周辺が全体的に赤くなります。炎症が落ち着けば赤みはおさまることが多いのですが、炎症反応が激しいと、化膿などにより赤紫色や赤褐色のニキビ跡になることがあります。
色素沈着跡
ニキビの炎症により色素沈着が起きて、茶色いシミが残ってしまうケースがあります。これはニキビの発生時、肌を刺激から保護するために発生したメラニン色素が原因。本来、メラニンはターンオーバーによって古い角質とともに排出されるのですが、何らかの原因で排出されないと茶色く皮膚に沈着してしまいます。炎症後色素沈着という状態です。
クレーター状跡
特に目立ちやすい跡で、凸凹して肌がクレーター状に陥没しているのが特徴です。
これはニキビの炎症が進み、表皮層の下にある真皮層にまでダメージが及んでしまった結果。真皮層は表皮層のようなターンオーバーが起きないため、炎症が起きた後の傷がそのまま陥没し、クレーターになってしまいます。
ニキビ跡を残さないために意識したいこと
炎症の発生やターンオーバーの乱れなどによって残るニキビ跡。では跡を残さないためにはどのようなことに気を付けたらよいのでしょうか?
ニキビを刺激しない
ニキビは皮膚に炎症が生じている状態のため、皮膚が敏感になっていることが多いもの。気になってつい患部を触ったり、早く治したいという気持ちから色々なケアで刺激してしまうと逆効果です。爪や指に存在する雑菌が付着したり、肌に負担がかかってさらに症状が進行してしまう可能性があります。治療によってニキビの発生を抑えることが重要です。気になるようなら「ニキビパッチ」と呼ばれる、貼るタイプの保護剤で外的刺激から保護する方法もありますよ。
メイクアップ化粧品やスキンケアアイテムを購入する際は刺激の少ないアイテムを選び、肌の負担を抑えると良いでしょう。香料などの無添加、アルコールフリーやパラベンフリー、アレルギーテスト済み、にきびのもとになりにくいことを確認するノンコメドジェニックテスト済みなどさまざまな表記がありますので、しっかりチェックを。評判やランキングに惑わされず、自分の肌に合う、安心して使用できるものを選んでみてくださいね。
また、クレンジング・洗顔はやさしく丁寧に行いましょう。ニキビができるような敏感肌の状態でごしごし強く洗うと強い刺激となり、炎症が悪化してしまうおそれがあります。
洗顔料は肌の皮脂を取りすぎない、洗浄力のやさしいアイテムがおすすめ。選び方としては、保湿成分が豊富に配合され、「アクネケア」や「薬用タイプ」などの表記で、ニキビケアに適した抗炎症成分が含まれている医薬部外品を使うのも良いでしょう。
角質ケアをする
角層表面に古い角質が溜まっていると、毛穴をふさぎやすくなるためニキビができやすい肌状態といえます。また、古い角質を取り除くことで、ターンオーバーの促進にもつながります。
ピーリング成分の含まれたクレンジング剤や洗顔料を使うと手軽にお手入れできますが、毎日使用すると必要な皮脂まで取り除いてしまうおそれがあるため、使い心地を見ながら、一週間に1回などのスペシャルケアにとどめるとよいでしょう。
保湿ケアを徹底し、肌を乾かさない
ニキビができやすい肌状態は、肌の水分と油分のバランスも崩れている乾燥肌の可能性も。肌を乾かさずに長時間乾燥を予防することで、肌のバリア機能が維持されやすく、水分と油分のバランスも整っていき、さらにターンオーバーも健やかになりますよ。
お手入れは、洗顔や入浴後、化粧水、美容液、乳液、クリームなどでケアするのが基本です。オールインワンアイテムを使用すると、手間が少なく時短になるうえ、肌摩擦も減らせて一石二鳥。肌を長時間うるおわせ、健やかなバリア機能を保つことで、肌がダメージを受けにくくなったり、皮脂が溜まりにくく雑菌が増殖しにくい肌へ導くことができます。
スキンケアアイテムも洗顔料と同様、薬用ローションや薬用化粧水と明記されたアイテムが薬局などで市販されています。ニキビ予防に特化したものも人気ですが、アイテムを選ぶ際には使用感や保湿成分にも着目してください。セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸などの保湿成分をしっかり肌奥に届けられるような、うるおいが長く続くアイテムを使い、乾燥予防を心掛けることがポイントです。
ニキビ跡の適切な対策【種類別】
できてしまったニキビ跡はできるだけ早く対策を打ちましょう。
ドラッグストア等ではさまざまなケアアイテムが市販されていますが、いずれもケアする際はニキビを刺激しないよう注意し、清潔な手で行いましょう。炎症がひどかったり改善が見られない場合は、早めに皮膚科を受診して皮膚科医の処方に従って治療をすることも選択肢に入れてください。
赤みのあるニキビ跡
まずは炎症を抑えることが大切です。サリチル酸、グリチルリチン酸ジカリウムなどの抗炎症成分の含まれたアイテムで保湿ケアをすると良いでしょう。
色素沈着した茶色いニキビ跡
メラニン色素が肌に沈着してできているため、美白有効成分が配合されたアイテムを使用すると良いでしょう。おすすめアイテムはビタミンC誘導体、アスコルビン酸、トラネキサム酸 などの美白成分が配合されたもの。「美白化粧水」等の表記があるものは肌のくすみや黒ずみにもアプローチし、透明感をアップしてくれるような美白効果も期待できます。
また、メラニンの生成を促進しないよう、UVケアも重要。スキンケアの最後には日焼け止めを塗る習慣をつけ、日中は帽子や日傘を用いるなど気を配りましょう。ターンオーバーを促進しメラニン色素の排出を促すことも大切です。
クレーター状のニキビ跡
クレーター状のニキビ跡は真皮における傷跡、ダメージのため、一度できてしまうと、セルフケアだけで改善するのは難しいことがあります。しかし、症状が浅い場合はクレーターが改善されたり目立たなくなることもあるため、根気強くケアを行いましょう。
クレーター状の跡になってしまう前に、ニキビができ続ける根本的な原因を改善し、ニキビの連鎖を断ち切ることが重要です。
乾燥を予防してニキビ&ニキビ跡ができにくい肌へ
ニキビは年代問わず悩みが多く、さまざまな民間療法が流行ったり、メンズ向けやプチプラのケア商品も多く販売されています。しかし敏感になっている肌に対し、間違ったケアを行うと、ずっと治らないニキビ跡になってしまう危険性も。日頃から乾燥予防ケアを行い、あらかじめ健やかな肌のバリア機能とターンオーバーを整えておくことで、ニキビ跡ができにくくなる肌を育てましょう。
ターンオーバーを促進には、生活習慣の改善から。肉や野菜などのバランスが取れた食事でしっかりと栄養を摂り、ビタミン類、タンパク質を効果的に摂取するとよいでしょう。早寝早起きを心掛け、食生活の偏りがないようにしましょう。
睡眠不足は言うまでもなくNGですが、質の良い睡眠をとる、適度な運動をするなどホルモンバランスを整えることも大切です。
また、肌表面の古い角質を除去するためにピーリングによる角質ケアを行うのも一つの手です。ただし、過度なケアは肌への刺激となり、バリア機能の低下につながるため注意しましょう。肌に刺激になりにくいアイテムを使うことで、やさしくフェイスケアを行うことができます。
そのうえで、肌にしっかりと水分を与え、肌内部にうるおいを長時間キープできるよう乾燥予防ケアを行うことで美肌に一層近づきます。皮膚表面に適度な皮脂が保たれていれば、ニキビもニキビ跡も予防できますよ。
【監修医師】
医学博士 久保田 潤一郎 もっと詳しく
久保田潤一郎クリニック院長 元杏林大学医学部助教授(形成外科学)
日本形成外科学会専門医・日本レーザー医学会永年レーザー専門医
杏林大学医学部卒業。慶應義塾大学病院に勤務し、医学博士号取得。後に、杏林大学医学部助教授(准教授)として診療を行うかたわら、後輩の指導にも熱心にあたる。数々の臨床・研究を重ね、多くの形成外科・美容外科の治療のほか、レーザーや光線療法により様々な皮膚のトラブルに対処し、皮膚レーザー療法を確立。国内外の医学会だけに留まらず、各種講演会でも積極的に講演し、自らの治療・基礎研究を主とした様々な情報や最新情報を広く伝えている。